2013年12月06日
もう年の瀬というのに、高血圧治療薬ディオバンをめぐる臨床研究で、いったい誰が何のために不正なデータ操作をしたのか、真相は一向に明らかにならない。
日本循環器学会が京都府立医科大学の論文2本を「重大な誤りがある」と撤回したのが昨年12月28日。この1年、医学界が論文不正問題に揺れた。
これを教訓に、医学界は変わることができるのだろうか。
この論文不正問題が医学界にもたらした衝撃は大きい。
医学系学会では、今年、利益相反問題や、臨床研究のあり方についてのシンポジウムなどが相次いで催された。
私が取材に行った学会だけでも、日本心臓病学会(9月、熊本)、日本高血圧学会(10月、大阪)、日本癌治療学会(10月、京都)、日本臨床薬理学会(12月、東京)などがある。
利益相反問題や研究倫理は各学会が真剣に取り組むべき大事な問題とはいうものの、昨年までは、シンポジウムなどを開いても人の集まりはパラパラしたものだった。注目されることも少なかった。
今年は会場が人で埋まった。研究に携わる各人が取り組まなければならない、避けて通れない課題だという意識の高まりがある。
データ操作などの研究不正が起きていたことは非常に残念なことではあるが、信頼される研究を進める制度作りに足を踏み出す好機であることは間違いない。
何が問題だったのか、振り返ってみよう。
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