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大学の「英語化」は日本の国際競争力を下げる

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 日本の大学の「英語化」の動きが活発になってきた。「英語化」とは、大学で英語による授業を増やすことのほか、外国人教員の増員、留学生の増員、事務業務の英語化、などの全体を指す。これらを積極的に推進するために国から各大学に巨額の税金が流れ込み、また、これらをどれくらい推進しているかによって各大学が国から評価されている。

 しかし、米国の大学で長年研究教育をしてきたひとりとして、筆者はこの状況を大変危惧している。現在の日本の大学の「英語化」は、大学ひいては国の国際競争力を下げることになりかねない危険な要素を多く含んでいるからだ。

 そこで、以下に筆者の観察、意見、そして提言を述べる。

【授業の英語化】
 これで懸念されるのは、授業の質の低下である。筆者は、所属する奈良先端科学技術大学院大学、またその他の国内のいくつかの大学院で英語による授業を行ったことがある。その経験から言わせて頂くと、

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