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37年ぶりの月面着陸を祝う:人類の夢実現への「第3歩」だ

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

 中国が月面への軟着陸に成功させた。惑星探査の経験もなく、月軌道への到達も3度目に過ぎないのに、いきなり成功させた隣国の快挙に大きな拍手を送りたい。日本の論評の中にはやっかみ半分に軍事との関係を匂わせたものもあるが、宇宙技術でのそのような意見が揚げ足取りに過ぎないことはWEBRONZA『「イプシロン」を長距離弾道ミサイルに直結させるのは言いがかりだ』で書いた通りだ。個人的には、近年のぎくしゃくした日中韓関係を吹き飛ばすぐらいのすがすがしさすら感じる。というのも、これは国家という枠を越え、人類の長年の夢でもあった月面基地への第3歩に本格的に踏み出した証でもあるからだ。

今までの月着陸計画

 月面基地への第1歩は、1960年代に繰り広げられた米国と旧ソ連の月競争だ。それは1965年のルナ9号(旧ソ連)による月面軟着陸と、1969年のアポロ11号(米国)による人類初の月面歩行という果実を結び、1976年に旧ソ連が最後の無人月探査機を送るまで続けられた。

 第2歩は旧ソ連のサリュート計画に始まる一連の宇宙ステーションだ。月に基地を作るには、長期に渡って人間が滞在出来るインフラを整えなければならない。その技術と医学を確立するのに、宇宙ステーションが最適だからだ。月は物資の運搬や緊急時の地球帰還が困難で、しかも1ヶ月のうち半月は太陽が当たらず、太陽光発電ができない。米ソが宇宙ステーションに向かったのも自然だろう。

 だが、宇宙利用が進むにつれ、以下の理由により月面基地を作る意義は大きく薄れた。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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