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 大蔵省造幣局が1円玉、5円玉の鋳造を5~6年ぶりに再開するという報道があった。消費税が4月から8%に上がる準備だそうだ。ずっと鋳造を見合わせていたので、将来の廃止に向けての準備かと期待してしたが、そうではなかったようだ。

 ここで廃止と書いたが、通貨単位を維持したままの最小通貨の漸次廃止(切り上げ)は、北欧を中心に昔から行われており、カナダでも2013年2月に初めて1セント硬貨が廃止された。例えば私の住むスウェーデンでは、1972年に1オーレ硬貨(当時のレートで1円相当)が廃止されて以来、1985年に5オーレ硬貨(当時のレートで1円相当)が、1992年に10オーレ硬貨(2円相当)が廃止され、3年前に50オーレ硬貨(7円相当)が廃止されて、現在の最小単位は1クローネ(15円相当)である。フィンランドではユーロが国内通貨だが、0.01ユーロに相当する1セント硬貨や2セント硬貨(補助単位としてセントという言葉を使っている)は使われていない。

 この最小通貨切り上げの特徴は、商品の値段等では一番下の桁(スウェーデンだと1オーレ=15銭相当) まで付けてよい所にある。硬貨が無くなるだけなのだ。その意味では日本の銀行が利子などの計算で未だに銭の単位まで帳簿に記入するのと同じである。

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 日本の場合、1円が最小通貨になって既に60年になる。その間に物価は10倍以上に上がっており、最小単位が10円に引き上げられて然るべきだ。どうしてそういう議論が日本で起こらないのか、不思議である。もちろんいきなり1円玉と5円玉の両方を廃止するのは混乱が大きいだろうから、先ずは1円玉の廃止(二捨三入・七捨八入となる)からだが、いずれにしても廃止すべきであると考える。本稿では、その理由を、経済性だけでなく、科学者の立場からも説明したい。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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