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うま年に考える:日本人は動物の扱いが苦手か?

楠瀬良 楠瀬良

オルフェーブルの圧勝

 2013年の中央競馬は、有馬記念オルフェーブルの8馬身差での圧倒的勝利の余韻の中で幕を閉じた。本当に強い勝ち方で、なんでこの馬がフランス凱旋門賞で勝てなかったのか、と訝しく思ったファンも多かったのではないだろうか。凱旋門賞2着は勝負の綾だったのかもしれない。

 それにしても日本で生まれ育ったサラブレッドも強くなったものである。日本に初めてサラブレッドが輸入されたのは明治10年、今から137年前のことである。以来、海外から優秀な成績をあげた競走馬を輸入して、種牡馬として供用することでサラブレッドの改良が進められた。

 海外のメディアから「日本は名馬の墓場である」と揶揄された時代が長く続いた。かつて日本の競馬はいわば“鎖国”状態だった。日本からの競馬情報の発信は少なく、馬産地の保護という理由から、外国で生産された馬は出走できるレースが限られていた。ましてや、海外の現役競走馬が日本の競馬で走ることはなかった。遠く極東の国、日本に行ってしまった名馬はその後どうなったのか?その産駒は活躍しているのか? そうした疑問に答える情報の少なさが「名馬の墓場」というフレーズになったのである。

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筆者

楠瀬良

楠瀬良(くすのせ・りょう) 楠瀬良

【退任】日本装削蹄協会常務理事。1951年生まれ。東京大学農学部を卒業後、同大学院、群馬大学大学院を経て1982年、日本中央競馬会(JRA)に。JRA競走馬総合研究所で馬の心理学、行動学を研究し、運動科学研究室長、次長などを務めた後、2012年から現職。訳書に『新アルティメイトブック馬』(E・H・エドワーズ著、緑書房)、著書に『サラブレッドはゴール板を知っているか』(平凡社)、『サラブレッドは空も飛ぶ』(毎日新聞社)など。農学博士、獣医師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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