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原発はいまだに温暖化防止の切り札なのか

石井徹 朝日新聞編集委員(環境、エネルギー)

 脱原発と温暖化防止は両立し得るのか。世界的に議論が巻き起こっているこの問題を、キーパーソンのインタビューを軸に考えたい。

 経産省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は、12月にまとめたエネルギー基本計画(エネルギー政策の中長期的な方向を示す計画)の中で、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけた。運転時に温室効果ガスの排出がないことなどが理由だった。

 一方、 11月には「2020年に05年比3・8%減(1990年比約3%増)」という日本の新しい温室効果ガス削減目標が決まった。麻生目標の「05年比15%減」と鳩山政権の「90年比25%減」は、いずれも電力に占める原発比率を42%と想定していた。原発以外の温暖化対策を怠ってきた日本は、福島原発事故で原子力発電がゼロになるやいなや、90年比でプラスになる目標しかつくれなくなった。

ヒンクリーポイント原発新規原発の建設が承認されたヒンクリーポイント原発。近くでは牛が放牧されていた=10月、英南西部ヒンクリーポイント。上田潤撮影
 海外に目を向けると、英国では10月、英南西部ヒンクリーポイントに25年ぶりに新たな原子力発電所を建設することを発表した。温室効果ガス削減の一環として、自然エネルギーによる電気を高値で長期間買ってもらえる「固定価格買い取り制度」を適用した。

 米国では、地球温暖化の予測や政策への橋渡しなどに尽力したコロンビア大のジェームス・ハンセン博士らが11月、深刻化する温暖化による危険を回避するためには、原発の利用が不可欠だとする書簡を発表し、論争になっている。

 果たして地球温暖化を防止するために原発は必要なのか。原発がなくては温暖化による破滅的な影響を避けることはできないのか。この問題を考えるために、2人の識者にインタビューした。今回は、原発肯定派の環境保護論者らを追ったドキュメンタリー映画「パンドラの約束」を撮ったロバート・ストーン監督の、続編でハンセン博士らの書簡に対する反論をまとめた明日香寿川・東北大学東アジア研究センター教授のインタビューをお届けする。

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