2013年12月31日
脱原発と温暖化防止は両立し得るのか。世界的に議論が巻き起こっているこの問題を、キーパーソンのインタビューを軸に考えたい。
経産省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は、12月にまとめたエネルギー基本計画(エネルギー政策の中長期的な方向を示す計画)の中で、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけた。運転時に温室効果ガスの排出がないことなどが理由だった。
一方、 11月には「2020年に05年比3・8%減(1990年比約3%増)」という日本の新しい温室効果ガス削減目標が決まった。麻生目標の「05年比15%減」と鳩山政権の「90年比25%減」は、いずれも電力に占める原発比率を42%と想定していた。原発以外の温暖化対策を怠ってきた日本は、福島原発事故で原子力発電がゼロになるやいなや、90年比でプラスになる目標しかつくれなくなった。
米国では、地球温暖化の予測や政策への橋渡しなどに尽力したコロンビア大のジェームス・ハンセン博士らが11月、深刻化する温暖化による危険を回避するためには、原発の利用が不可欠だとする書簡を発表し、論争になっている。
果たして地球温暖化を防止するために原発は必要なのか。原発がなくては温暖化による破滅的な影響を避けることはできないのか。この問題を考えるために、2人の識者にインタビューした。今回は、原発肯定派の環境保護論者らを追ったドキュメンタリー映画「パンドラの約束」を撮ったロバート・ストーン監督の、続編でハンセン博士らの書簡に対する反論をまとめた明日香寿川・東北大学東アジア研究センター教授のインタビューをお届けする。
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