2014年01月27日
海賊版対策のための法律整備について、従来の出版権を電子出版権に拡張する形とする方針が文化庁・文化審議会下の関連委員会で年末に決まり、通常国会で審議される運びとなった。著作権の制度や運用については、科学者として関心を持たずにはいられない。科学の発展に情報の自由な流通が不可欠なのに、それを著作権などの権利が妨げる機能を持つからだ。今回の審議の行方も注目してきたが、いくつかあったオプションの中では、一番無難な形だったので、取りあえずほっとしている。
著作権をめぐる議論は今後も何度も再燃するだろう。本稿では、なぜ「出版権』という方式が一番無難だと感じたか、他のオプションと比較しながら説明し、同時に、他のオプションに反対する理由も加える。
海賊版を減らすには、異議申し立てできる主体を、著作権者だけでなく、実質的な利害当事者である出版社も含めるのが確かに有効だ。このことに異論はない。問題は、どこまでの権利を出版社に持たせるか。今回議論になったのは、法の空白地帯となっている電子書籍に対する対応法だ。
本来は、科学論文のように、税金がかなり投入されて生まれた公共性の極めて高いものと、娯楽・芸術系の商業性の極めて高いものと同じ土俵で議論すべきではない。だが、
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