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日本版NIH問題で明らかになった 日本の研究文化のダメなところ<下>

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 「日本版NIH」騒動で明らかになった「基礎研究と応用研究を峻別する」という日本の奇妙な研究文化の原因を、引き続き考えていく。

【日本の大学医学部における極度の医師偏重文化の存在】
 第三の要因として挙げられるのが、臨床(応用)分野の研究者の基礎研究に対する理解不足である。

 日本でも米国でも大学医学部では医師優越文化があるのは確かである。もちろん、患者さんを直接対象とした臨床研究は医師でなければできないし、大学付属病院では医師が診断・治療をする必要があるので、医師優遇は当然である。しかし、いわゆる基礎医学分野(生化学、遺伝学、細胞生物学、神経生物学など)では、医学部であっても米国ではM.D.の学位(Medical Doctor、つまり医師)を持っていないPh.D.(博士号)の教授が多い。

 例えば、世界の医学研究の中心 であるハーバード大学医学部では、

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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

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