武村政春(たけむら・まさはる) 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)
東京理科大学大学院科学教育研究科准教授。1969年三重県生まれ。1998年名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。名古屋大、三重大の助手等を経て現職。専門は生物教育学、分子生物学、細胞進化学。著書に「レプリカ~文化と進化の複製博物館」(工作舎)など多数。【2015年10月WEBRONZA退任】
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
STAP細胞。これが、理化学研究所の研究チームが命名した「万能細胞」の名前だ。STAPとは、「stimulus-triggered acquisition of pluripotency」、すなわち「刺激によって惹起される多能性の獲得」という文言の略語である。平たく言えば、細胞を酸性ストレスにさらすことで多能性が獲得されたという興味深いものだ。
小保方晴子博士らのその論文は、1月30日付け科学誌『Nature』誌に掲載され、同日付の朝刊各紙に大きく取り上げられた。iPS細胞の時にコメントしたような、体細胞を用いることに対するDNAの突然変異をめぐる懸念(以前のwebronza記事をご参照ください)も、STAP細胞においても相変わらず存在するが、本稿ではこれらのことではなく、そもそも「リプログラミング」という方法論がなぜ成立し得るのかに関する、生物学的な背景を探ってみたいと思う。
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