山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員
スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
東日本では2週末続いて半世紀ぶりともいえる記録的大雪が降り、その後も寒波が続いた。その一方で、ロシアのソチはオリンピックの期間中ずっと異常暖波に見舞われて、半袖でスキーレースに参加した選手すらいた。
今回の大雪は、直接的には、寒気をもたらした高気圧が、低気圧の接近を十分にブロックできずに、低気圧が北に上がってしまったとか、普通なら大雨を降らせる性質の低気圧が、寒気が強かったために雪を降らせたとか説明されているようだ。しかし、私はその種の説明が嫌いだ。というのも、ここで終わっては、今後も異常豪雪が予測できないからだ。異常を引き起こすメカニズムを、その元までたどって、最終的には「異常気象の予測」を目標とすべきだろう。
一方、このような極端な気候の究極原因として、必ずといってよいほど「温暖化の過程で、平均からの変動が大きくなる異常気象が増える」という説明が出てくるが、これも別の意味で乱暴だ。確かに温暖化のシミュレーションでは、台風や洪水などの異常気象の増加が予測されるし、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書でもその危険を警告している。しかし、台風の規模が大きくなったり竜巻が増えたりする「異常」と、今回のような温度のかたよりが大きくなる「異常」を同じように説明しては、メカニズムは究明出来ない。
今回の大雪の鍵になるのは、