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NHK会長問題に見る大学ガバナンスの行方

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 NHK会長の発言をめぐる議論が活発である。その発言内容についてもいろいろと考えさせられることはあるのだが、それについてはすでにWEBRONZAを含め、数多くの優れた論考が展開されている。そこで、私としてはその発言内容の是非には立ち入らず、組織論という立場に限って考察してみたい。そこには現在の大学がおかれている状況と同じ構図が浮かび上がる。その意味において、NHK会長問題は、大学のみならずより一般的に組織とはいかにあるべきかという普遍的な問いそのものである。

 NHK会長は経営委員会によって選任される。その経営委員会は、両議院の同意を得て内閣総理大臣から任命される。理事は、経営委員会の同意を得て会長が任命する。ここまではNHKのホームページにも引用されている放送法に規定されている通りである。さて、現在のNHK会長は就任直後、理事に対して事前に辞表提出を求め、10人の理事がこれに応じたことが明らかになった。さらに彼は「これは一般社会ではよくあることだ」と発言している。しかしながら、上記のような状況のもとで運営される理事会が健全に機能するとは、論理的にとても信じられない。なぜならば、トップの会長が完全無欠の聖人君子だと期待できる可能性はかなり低いからである 。

 これに対して、現在の大学という組織は、

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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし) 東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に『ものの大きさ』、『解析力学・量子論』、『人生一般二相対論』(いずれも東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『三日月とクロワッサン』、『主役はダーク』『宇宙人の見る地球』(いずれも毎日新聞社)などがある。

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