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STAP細胞論文問題の背景(上) ~生命科学の論文はどう作られ、審査されるのか~

武村政春 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)

STAP細胞論文問題がかまびすしい。先月、STAP細胞論文の発表を受けて「核」のリプログラミングに関する生物学的意義についてwebronzaに記事を書いたときは、まさかこのような展開になるとは思いもよらなかった。研究者が発表する論文には「ウソがない」ことが、あたり前だったからである。

 『Nature』誌に掲載された論文に関しては、「審査の過程でこうした画像の使い回しを見抜くことができなかったのか」といった指摘がメディアなどで多くなされた。13日の理化学研究所による中間報告記者会見を受けた、その夜のテレビ朝日「報道ステーション」では、右上の字幕に「ずさんな審査」などという語句が現れていたが、これには科学論文の作成と審査、発表のプロセスに対する大きな誤解がある、と思った。

 私としては、論文の審査の過程で「見抜くことは普通はできない(しない)」という答えを、ここでは用意したい。なぜなら、そういう目では審査はされないというのが普通であり、審査員がそういう目で審査しなければならない義務もないからである。したがって、論文の審査員にも責任があるのではないか等の指摘もあるようだが、こちらについては「審査員に責任はない」と結論付けたい。

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筆者

武村政春

武村政春(たけむら・まさはる) 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)

東京理科大学大学院科学教育研究科准教授。1969年三重県生まれ。1998年名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。名古屋大、三重大の助手等を経て現職。専門は生物教育学、分子生物学、細胞進化学。著書に「レプリカ~文化と進化の複製博物館」(工作舎)など多数。【2015年10月WEBRONZA退任】

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