2014年03月31日
ウエアラブル端末の国際見本市が3月25、26日に東京ミッドタウンで開かれた。身につけられる(=ウエアラブル)機器への注目は高まるばかりだ。「Google Glass」をはじめ、各国のメーカーが「ポスト・スマートフォン」を窺う商品としてウエアラブル機器を続々と投入し始めている。
例えば、小型防水カメラ「GoPro」は名刺ケースぐらいの大きさで、スキーやダイビングなどを楽しみながら主観視点を記録することに多用されている。従来のスマートフォンなどのカメラとの大きな違いは、頭部のヘルメットや用具に装着し「ハンズフリー」で利用するようにできている点だ。昨年12月11日、ハワイのチャーター機がエンジントラブルで洋上に不時着したときに乗客の一人がこれで撮影した生々しい事故映像は、世界を驚かせた。
従来の道具が手で扱うことを念頭に設計されていたのに対し、「GoPro」は手を道具から解き放つことでスポーツや作業をしながら、例えば先の事故動画の場合には事故機から避難しながら映像を記録することを可能とした。これはまさに「ウエアラブルなカメラ」と位置づけることができ、ウエアラブル技術の可能性を示している。
本稿では、ウエアラブル技術の現状を紹介しつつ、今後の動向を考えてみたい。
ウエアラブル技術の歴史は意外と古い。 米国科学研究開発局長官として第二次世界大戦に関わる科学技術開発を指揮したヴァネーバー・ブッシュは、終戦目前の1945年7月、Atlantic誌に「As We May Think」と題した論文を発表し、その中で超小型のカメラをメガネや頭部に取り付け、主観視点映像を記録し共有することや、神経を介して五感を記録・制御するといったアイデアを提案している。
その後アイヴァン・サザランドが1968年に世界初の頭部搭載型ディスプレー(HMD)を開発したが、それは巨大で実験室内でしか用いることのできないシステムであった。90年代に当時マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの学生であったスティーブ・マンやサド・スターナーらによって、小型・軽量のカメラやHMDを用いたシステムが登場した。こうしてヴァネーバー・ブッシュが思い描いたビジョンは「ウェアラブルコンピューター」という技術分野として花開いたのである。
ウエアラブル技術の特徴としては3点挙げることができる。
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