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続・調査捕鯨禁止判決で見えた日本の国際オンチぶり~これからどうすべきか

下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

そもそも反捕鯨側の論点には、大きくふたつの方向がある。ひとつは自然生態系のバランス破壊、種の絶滅を危惧する意見。もうひとつは端的に「残酷だ」という意見だ。この「残酷」説は「知能が高い、感情も痛みもあるらしい、可愛い」という感覚から来ている。水族館などでシャチやイルカのショーがもてはやされる文化の延長線上にあると言えるだろう。

 このふたつの意見を比べると、どちらかと言えば前者(生態系のバランス破壊説)が欧米主流の公式見解だ。だが前稿で触れたケネディ大使のツイッターに見るように、時折政治家や外交官が「残酷」説に沿う発言をすることもある。豪州のフレイザー首相(1979年当時)も「鯨は知的で特別」と発言した(live door ニュース、http://blogos.com/article/83485/)。

 日本では「欧米人はビーフを日常的に食べるくせに、身勝手」という意見も聞くが、これは上記第一の論点(生態系のバランス破壊説)を完全に見落としている。欧米での食肉牛はほぼ全部飼育だが、他方絶滅が危惧されるバファロー(野生牛)はもちろん保護対象だ。

 先のケネディ大使の「イルカ漁反対」書き込みの後、彼女は鹿児島県知事との面談で「(名物の)黒豚を食べてみたい」と発言(読売デジタル2月27日付)。これを受けてネット上では「豚は良くて、イルカはダメなのか」とまた炎上した。しかし黒豚がすべて飼育の産物であることを知っている大使にすれば、当然の区別ということになるだろう。

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筆者

下條信輔

下條信輔(しもじょう・しんすけ) 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授。認知神経科学者として日米をまたにかけて活躍する。1978年東大文学部心理学科卒、マサチューセッツ工科大学でPh.D.取得。東大教養学部助教授などを経て98年から現職。著書に『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)など。

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