2014年04月22日
STAP細胞論文問題でいったいだれが重い責任を負うべきか。
理化学研究所(理研)の調査委員会は、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方晴子ユニットリーダーひとりに「研究不正行為があった」と結論づけた。
小保方氏は不服申立書で研究不正を否定し、調査の手続きに対しても「弁明の機会」が不十分と異議を申し立てた。
私は理研調査委員会の記者会見(4月1日)、重要な共著者である笹井芳樹CDB副センター長の記者会見(16日)に出席して、理研の調査や笹井氏の説明の不十分さを感じざるを得なかった。「小保方氏ひとりが悪いのか?」と問いたい。
笹井氏の記者会見は3時間半にわたったが、肝心な疑問には明確に答えず、真相解明にはほど遠い内容だった。
私が抱いた大きな疑問は、調査委員会が「捏造(ねつぞう)」と判断したSTAP論文の画像取り違えについてだ。笹井氏はこの画像が小保方氏の博士論文の画像と酷似するものと知っていながら、2月20日の調査委員会のヒアリングでは、その事実を委員に申告しなかった。
取り違えた画像は、STAP細胞が様々な種類の細胞に分化できる証拠となる画像で、論文の根幹部分だ。幹細胞研究の第一人者である笹井氏が、早稲田大学に提出された2011年に博士論文の画像が全く違う実験の画像で、英科学誌ネイチャーの論文に誤って掲載されてはならないことを知らないはずがない。
単純な「取り違え」では説明しにくい画像がSTAP論文に使われていたことを知れば、ふつうの研究者ならば、間違いの深刻さにびっくりして、「何か異常なことが起きている」と感じることだろう。それを調査委員会に申告しないのは不自然で不誠実な態度と受け取られても致し方ないと私は考える。
笹井氏自身は調査報告書を受けて発表したコメントで「画像の取り違いの調査委員会への報告の際、私どもの当初の説明に不十分なものがあったとのご指摘も報告書にございましたが、これは自己点検での発見された過誤を追加報告する際の私どもの不手際によるものであり、隠蔽とは次元の異なるものであります」と述べている。
このような重大な間違いが「過誤」として片付けられるものなのか。「隠蔽とは次元の異なるもの」とはいったいどういう意味なのか、私には理解できない。この点、笹井氏に直接聞きたかった。私は記者会見で挙手していたものの、残念ながら質問の機会が与えられなかった。
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