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名古屋大学大学院で「女性リーダー育成」をうたうプログラム始まる

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 名古屋大学が、「女性リーダー育成」の博士課程教育をスタートさせた。生命農学研究科や国際開発研究科など4研究科の修士1年生の希望者から毎年20人を選抜、5年一貫教育で世界で活躍するための能力習得を目指す。文部科学省の「博士課程教育リーディングプログラム」の一つだが、同プログラムで採択された62件の中で「女性リーダー育成」をうたうのはこれだけ。男性優位が長年ゆるがなかった国立大学で、あえて女性リーダー育成を打ち出した名古屋大の取り組みに注目が集まる。

 正式名称は「『ウェルビーイングinアジア』実現のための女性リーダー育成プログラム」。ウェルビーイングとは「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること」と定義されている。このプログラムでは、「食・健康・環境・社会システム・教育」をキーワードに、アジアでのウェルビーイング実現のためにグローバルに活躍する女性リーダーの育成を目指す。女子学生が主体だが、「男女共同参画の意識をもつ男子学生の応募も歓迎」している。選ばれた学生には、月額15万円の学修奨励金が出る。

 修士課程では徹底した英語教育とともに、ジェンダー問題への理解を深める。さらに海外実地研修や多文化討論会などを通じ、実践力を養うという。国際協力機構(JICA)や各種国際機関などでのインターンシップも計画している。

 プログラムコーディネーターの束村博子・生命農学研究科教授は「アジアでは日本と同じく生活習慣病が問題になっているタイやフィリピンのような国もあれば、乳児死亡率の高さが問題になるミャンマーのような国もある。文化も発展段階も多様なアジアで、さまざまな課題を解決していく専門能力と強い使命感を持つ女性リーダーを育成したい」と張り切る。

 なぜ、名古屋大学で女性リーダー育成なのか。藤井良一副総長は

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