2014年06月16日
STAP論文に不正ありと認定されて以来、ずっと気になっていたのは「なぜ理研は小保方晴子さんを採用したのか」という点だった。6月12日に公表された理研「研究不正再発防止のための改革委員会」(岸輝雄委員長)の提言書と「CDB(発生・再生科学総合研究センター)自己点検の検証」は、それが「異例で杜撰(ずさん)なプロセスによるものだった」と明らかにした。かかわったセンター長、当時の副センター長を始めとするCDBトップ層の責任は「きわめて重い」と断罪した改革委。とくに竹市雅俊センター長に対し、センター長としての責務の認識すらしていないと厳しく指摘した。
小保方さんはSTAPを「王子様にキスされて目覚めるお姫様」になぞらえた。酸につけると眠っていた能力が呼び覚まされるからである。その証拠はなくなったが、STAPはここまで社会に注目されることによって、ひょっとすると研究者の目を覚まさせたかもしれない。もちろん、改革委の提言を理研がどこまで実行するか次第だが。
竹市氏は、細胞間接着分子カドヘリンの発見で名高く、2005年に日本国際賞を受けた赫赫(かくかく)たる研究者である。86年に京都大学理学部生物学科教授となり、2000年にCDBができたときにセンター長に就任した。「フェアで、学生にムチャクチャ優しい人。白い巨塔とは違う、ヒエラルキーのない清新な研究所をつくろうとなったとき、そのシンボルとしてぴったりだった」(京大関係者)
そしてCDBは、学閥のない、若手も自由に研究できる研究所として成果を挙げてきた。CDBの助言委員会(海外から6人、日本人3人で構成)は、2012年に出した提言で「最先端の発生生物学研究所として世界的に認知されている」と認定し、「総合的に見て、CDBは理研及び日本の科学の国際的な知名度と地位の向上に多いに貢献している」と評価している。
この提言で「傑出した科学者」と形容された竹市氏に対し、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください