大隅典子×最相葉月×高橋真理子
2014年08月15日
高橋 私は小保方会見を見て、「謝罪文化の根深さを見せつけられた小保方氏の記者会見」という記事を書きました。謝れば水に流す、という日本文化が問題だという指摘です。あの記者会見はとにかく異例の記者会見で、民放のテレビが生放送したというのもまったく異例のことでしたし、新聞各紙も翌日大きく扱いました。
大隅 NHKのトップで17分ぐらいやっていたというのは、山中さんよりも長いんじゃないかと思いました。
高橋 でも、あの記者会見を乗り切った胆力というんですか、その意味では小保方さんってすごいと思った。最相さんはあの会見をご覧になりました?
最相 見ました。ワイドショーの記者と科学雑誌の記者が同席している記者会見って異様ですね。あの会見で何かを納得したとか、腑に落ちたとか、そういうものはまったくないです。1つのお祭りとして見たといいますか。この事件は同じ論文を書いている者がみんなばらばらで記者会見をやりましたね。こんなことは世界で初めてではないでしょうか。もうこれはサイエンスじゃないなと思いました。
高橋 理研はトカゲのしっぽ切りのように小保方さん1人を悪者にして、ほかの人たちを守ろうとしている、そういう理研はひどいんじゃないかという意見は非常にありました。
大隅 研究者たちの中でも、小保方さん1人が悪いとは思ってないと思います。ただ軽重をつけた場合にどうなるのか。私はそういうことを言う立場でまったくないので、最終的に組織が判断されることだとは思いますけれども、やっぱり彼女がいなかったら起きなかった事件であることは間違いないと思います。
最相 もう1つ、小保方さんがわりと早い時期に弁護士を付けましたね。最初はおそらく報道対策だったのでしょうが、これで世の中は小保方さん対理研という対立構図で見るようになり、小保方擁護派と批判派に分かれてしまった。
大隅 弁護士は弁護するのがお仕事だと本当に思うんですけれども、でも科学者の目から見たらあり得ないことまでいちいち弁護されているのがとても歯がゆいというか、そういった気持ちになりました。
高橋 ただ実験ノートを公開したのは弁護士さんなんですよ。私、マスコミとしてはそれがありがたかった。理研は公開するつもりはなかったわけです。あのノートの公開というのは、ものすごくインパクトがありました。
最相 あのノートを見たことで、この捏造事件が彼女だけの問題ではないと思いました。共犯者と言ったら語弊がありますが、いるに違いないという確信に。
大隅 もちろん
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