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この猛暑の時期に本当に東京オリンピックをやるのか?

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

 関東では、連日、猛暑と熱帯夜が続いている。昼、外を出歩くのは生命の危険を感じるほど、暑い。「熱中症患者が○○人、うち重体が□人」というニュースにも、慣れっこになってしまった。やはり温暖化は進んでいるのか、この先どこまで暑くなるのか、不安を覚えずにはいられない。いつしか夏は、私にとって恐怖の季節になってしまった。

 そのような中、私が最も危惧しているのは、6年後の2020年に開催される東京オリンピックである。そのスケジュールは、7月24日(金)~8月9日(日)の17日間が予定されている。まさに東京が連日猛暑となる真っただ中で、オリンピックが開催されるのである。各国の選手団、主催関係者、そして多くの観客にとって、極めて過酷な時期での開催となる。

 特に屋外競技にとっては、“死のオリンピック”になりはしないか、大変心配である。ここ数年、軽い熱中症に何度かかかった私は、せっかくの東京オリンピックではあるが、絶対に観戦にはいかない。暑さが怖くて、とても競技場に近づく気にはなれないのである。

 このような時期に、東京でオリンピックを行うことがどのくらい危険なことであるか、国立環境研究所と気象庁のデータを見て考えてみよう。

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 図1に、東京23区の35℃以上の猛暑日、30℃以上の真夏日、最低気温25度以上の熱帯夜の日数と、救急車で搬送された熱中症患者数を示す。

 2000年以降、500人前後で推移していた熱中症患者数が、2010年に急激に増大し3000人を超えた。2011年および2012年は若干減少するが、それでも2000人を超えている。そして、2013年に、再び3000人を突破した。つまり、2010年以降、熱中症患者数が増大し、高止まりしている。

 2009年以前と2010年以降で何が変化したのか?

 まず、

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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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