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地熱発電はなぜ日本だけ停滞したのか~注目浴びる温泉発電所

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

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 日本は火山国だ。ということは地熱資源が豊富な国である。実際、火山の数では米国(160)、インドネシア(146)、日本(119)の順で世界第3位、地熱の資源量も第3位だ。ところが、地熱発電量では世界8位に沈んでしまう。しかも、日本の地熱発電量は1997年をピークに減少し、発電の認可出力は横ばいが続いて、この間は「眠っていた」と言われている(右図)。同じ時期にインドネシアやフィリピン、アイスランドなどがどんどん地熱発電所を増やしてきたのとは対照的だ。

 ここへきてようやく、温泉地での小規模な「温泉発電所」が増え始めた。福島原発事故が、地熱発電の眠りを覚まさせたのである。だが、目は覚ましたものの、まだ布団の中でぐずぐずしている状態と言っていい。なぜなのか、日本にある豊かな資源がなぜ利用されないのか。福島原発事故後、ずっと気になっていたことを考えてみる。

 日本の地熱発電は1960年代に始まり、90年代前半までは発電設備容量がまずまず増えてきた。ところが、そこからピタッと開発が止まってしまう。世界はといえば、増加スピードはまったく衰えず、むしろ2005年以降は増加スピードがあがっている。日本は完全に世界の流れに取り残されているのである。

 地熱発電の長所ははっきりしている。まず安定していること。ほかの自然エネルギーが昼夜や季節で大きく変動するのに対し、地熱は変動がほとんどない。設備利用率も高い。2009年の実績だと地熱は72%で、原子力発電所の71%とほぼ同じだった。季節変動や日内変動が避けられない風力では約20%、太陽光では約12%の設備利用率になる。そして、二酸化炭素排出量が極めて少ない。発電機作成段階も含めたトータルの排出量(ライフサイクルCO2排出量)は、中小水力発電についで地熱が少ない(電力中央研究所調べ)。つまり、二酸化炭素を出さないという点では原子力より上なのだ。

 にもかかわらず、日本では地熱発電が増えなかった。理由として

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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)、編集委員を経て科学コーディネーターに。2021年9月に退社。著書に『重力波 発見!』『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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