2014年09月19日
ここへきてようやく、温泉地での小規模な「温泉発電所」が増え始めた。福島原発事故が、地熱発電の眠りを覚まさせたのである。だが、目は覚ましたものの、まだ布団の中でぐずぐずしている状態と言っていい。なぜなのか、日本にある豊かな資源がなぜ利用されないのか。福島原発事故後、ずっと気になっていたことを考えてみる。
日本の地熱発電は1960年代に始まり、90年代前半までは発電設備容量がまずまず増えてきた。ところが、そこからピタッと開発が止まってしまう。世界はといえば、増加スピードはまったく衰えず、むしろ2005年以降は増加スピードがあがっている。日本は完全に世界の流れに取り残されているのである。
地熱発電の長所ははっきりしている。まず安定していること。ほかの自然エネルギーが昼夜や季節で大きく変動するのに対し、地熱は変動がほとんどない。設備利用率も高い。2009年の実績だと地熱は72%で、原子力発電所の71%とほぼ同じだった。季節変動や日内変動が避けられない風力では約20%、太陽光では約12%の設備利用率になる。そして、二酸化炭素排出量が極めて少ない。発電機作成段階も含めたトータルの排出量(ライフサイクルCO2排出量)は、中小水力発電についで地熱が少ない(電力中央研究所調べ)。つまり、二酸化炭素を出さないという点では原子力より上なのだ。
にもかかわらず、日本では地熱発電が増えなかった。理由として
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