2014年09月30日
「ポケモン」は長らく子どもたちに人気のアニメ/ゲームソフトだが、ここへ来て「妖怪ウォッチ」も、それを急追する人気を見せている。その共通点はポケモンも妖怪も「主人公の友達」になる点で、過去の人気アニメなどと比べても特徴的だ。また世界的にヒットしたアニメ映画「となりのトトロ」(宮崎駿監督)でも、子どもにしか見えない森の精のような存在が、物語の軸になっていた。洋の東西を問わず、子どもを主人公にした物語には、このような子どもだけの「友達」がよく出てくる。
もちろん友達といっても実在する訳ではないから、空想の友達と呼ぶべきだろう。「空想の友達 (Imaginary Companion; IC)」というのは、実は認知発達心理学の術語で、その分野のホットな研究テーマとなっている。
日常生活でも、幼児が誰もいないところに話しかけたり、笑いかけたりするのを目撃したことのある人は多いだろう。驚いて「誰と遊んでるの?」と問うと「お友達の○○ちゃん、ここにいる」と脇を指差したりする。おとなから見れば相当ブキミだから、慌てて保育相談所や小児科などに駆け込む親御さんもいる。実際、空想の友達を未成熟や精神疾患と短絡させる主張が(保育や小児医療の専門家の間ですら)かつては見られた。
しかし今では、青年期の精神疾患とは関連がないことがわかっている。稀には成人になってもまだ空想の友達がいることがあるが、それだけで異常とは言えない。それどころか、空想の友達を持つ子どもの方が社会認知のある側面では優れた能力を示すこともわかっている。そこでむしろ知性と創造性のしるしとみなされることもあるが、これは逆に買いかぶりの可能性がある。たとえば視覚イメージおよび聴覚イメージの能力は、一般健常児と変わらない。
こどもが報告する空想の友達には、一貫した特徴がある。たいてい名前があり、性格があり、はっきりした姿や声がある。そして決定的なことには、継続性がある。つまり(その子にとっても)いなくなることはあるが、翌日また前と「同じ」お友達として遊びに来たりする。
100人子どもがいるとして、おおよそ何人ぐらいが空想の友達を持っているのだろう。これは
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