2014年10月04日
各国の現代史においてそう何度も起きないことが、いま香港で起きている。「そう何度も起きないこと」とは、学生を軸とする若い市民が団結して権力と対峙し、国の行く末までも変えようとする運動のことだ。現地の共同研究者や学生から通信があったので、緊急にリポートしたい。
2017年の行政長官選挙をめぐり、香港の自治が揺らいでいる。というのも中国側(全人代)の決めた改革案が、事実上民主派の候補を締め出すものだったからだ。先月に入って抗議行動が拡大、28日には反対派が数万人規模で中心部を占拠した。
香港大学に在籍する共同研究者(助教)からの未確認情報によれば、同大学の学生10人またはそれ以上が逮捕された。大学側はただちに、学生を取り戻すために法的な援助を与えている。学生たちは授業をボイコットし、占拠の隊列に参加、またはその支援に動いている。多くの教授が(少なくとも)それを容認している。
さらに活動家学生らは「授業をボイコットしながらも、学習を進めるため」として、香港大学をふくむ香港の各大学の全教員に対し、自発的な公開講義を要請するメッセージを流した。ただし金鐘(アドミラルティ)、銅鑼湾(コーズウェイベイ)、九竜地区の旺角(モンコック)など(の占拠現場)に出張し、テーマは「香港の社会」「人権」または「民主主義」など「でもよい」という内容だ。つまり実質、抗議行動への参加呼びかけと読み取れる。エレガントな戦術を編み出したものだ。香港大学ではこのメッセージが、大学側の教員組織を通して流れた。
香港大学学長(英国人医師、ピーター・マジソン)も9月30日付で、大学コミュニティに向けた公式メッセージを発信。その中で「誰に対する暴力にも反対する。催涙ガスの使用は了解できない。その決定の責任は警察と政府にある」とはっきり抗議した。さらに「授業のボイコットやスタッフの欠業に関する大学のポリシーは、従来通り。しかし学生の行動やスタッフの強固な意思表明に対しては、柔軟に、適切に対処する」と、相当踏み込んだ支援を表明している。
筆者と交流のある香港中文大学の大学院生(香港大学卒業生)は、次のように書いてきた(9/29、10/1付メールから要約)。
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