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日本は無人ヘリ先進国、なのに御嶽山には使われなかった無念

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

 木曽御嶽山が噴火して多くの犠牲者やけが人が出た。まずは犠牲者に冥福を、被災者にお見舞いを申し上げたい。

拡大山頂へ向かう途中の捜索隊。捜索活動はこの後、降雨のため中止になった=10月2日午前9時25分、長野県木曽町、本社ヘリから、堀英治撮影

 今回、多くの人が「予知できたら」と思い、また「無人で探索・救出できたら」と思ったのではないか。巷では予知の難しさが語られているが、一方の無人探索は実は実証実験までは終えていた。それが今回投入されなかったのは無念というしかない。

噴火予知は難しい

 2000年3月の有珠山噴火や同6月の三宅島噴火の予知成功は火山学の勝利といえる。しかし三宅島では当初の噴火は予知できたものの、その後の一連の噴火は「今後も噴火の可能性あり」としか言えなかった。桜島でも予知成功例はいくつかあるものの、多くの大爆発がいきなり起こっている。今回のような水蒸気爆発となれば、どの火山でも噴火予知が極めて難しい。

 こういう惨事のあとは、必ず「観測を密にすれば、なにかの兆候はつかめるはずだ」という意見が出るが、そもそも「何を」調べれば予測につながるのかという基本的なことすら未解明なのだ。唯一の予報機関である火山噴火予知連絡会も、実は気象庁長官の私的諮問機関に過ぎず、国の正式なバックアップがあるわけではない。

無人技術の必要

 噴火による死傷者をゼロにしようと思ったら、全ての火山を入山禁止にすれば簡単だ。しかし、それは誰も望むまいし、実現不可能だ。

 そうなると、せめて噴火してしまった際の被害を最小限にすべく早急の対応が欲しい。特に「誰が何処で遭難しているか」という位置情報と「現在の危険は有毒ガスなのか噴石なのか火山灰なのか溶岩なのか」という危険情報は一番優先して得るべきものだ。御嶽山噴火では、岩陰に身を隠して救助を待っていたのに亡くなられた方もおられると聞く。発見が早ければと思ったのは私だけではあるまい。

拡大東京電力福島第一原発から3キロ圏内の放射線量を測る無人ヘリコプター。奥は第一原発=2012年10月2日、福島県双葉町、木村俊介撮影

 しかし、噴火活動中の火山は危険があまりに多い。そこで期待されるのが無人機だ。

 福島原発事故の直後、原発の危険な様子を画像に残したのが米軍の無人飛行機だ。一方の日本の自衛隊は、開発中だった無人ヘリで原子炉を上空から調べることを検討したが、信頼性が十分でなかったため見送ったと3年前に報道されている。

 もっとも、事故4カ月後の7月には日本の無人ヘリが放射能汚染の高い地域の地表汚染を低空からモニターし始めた。原子炉付近を飛ばせるだけの信頼度のある「全自動」無人ヘリも開発されている。それは10年以上前から無人ヘリによるモニタリングの研究開発をしていたから可能になったことだ。実は無人ヘリ自体は、30年以上の歴史を持っている。

無人ヘリの歴史

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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