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再生エネルギーの「受け入れ凍結」と原発再稼働を考える(上)

吉田文和 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

 九州電力と北海道電力など5電力会社は、原発の再稼働の申請を行う一方で、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力の受け入れ凍結宣言を行った。再生可能エネルギーを増やす固定価格買取制度(FIT)の根幹を揺るがすできごとだ。経団連も原発再稼働と再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の抜本的見直しを求めている(10月8日)。まず(上)では、開始から2年半しか経っていないFIT 制度をどうすればいいのかを、(下)ではあまり語られない「原発再稼働のコスト」などを考える。

福岡市で開かれた九州電力の「再生可能エネルギー買い取り中断」の説明会。午前の説明会が終わり、会場を出る事業者たち(右)。その左側には午後の説明会の開始を待つ行列ができていた。10月1日午後零時28分、福岡市中央区で。朝日新聞。拡大福岡市で開かれた九州電力の「再生可能エネルギー買い取り中断」の説明会。午前の説明会が終わり、会場を出る事業者たち(右)。その左側には午後の説明会の開始を待つ行列ができていた。10月1日午後零時28分、福岡市中央区で
 電力会社のこの措置は、日本のFIT制度(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)が、その第5条において、「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがある」場合、接続を拒否できるという規定に従ったものである(注、第5条の内容は〈下〉の末尾に収録)。

 電力会社の主張は、これまでに認定された大量の太陽光発電設備が送電線に接続され、実際に稼働した場合、大量の電力が流入し、コントロールすることができなくなるというのである。

 FIT制度そのものは、再生可能エネルギー電力の買取価格と買取期間を保証することによって、再生可能電力の導入促進をねらったインセンティブ制度であり、再生可能エネルギー拡大のいわば必要条件である。

 しかし、それと同時に再生可能電力の系統電力網への接続が保証されることが、再生可能電力拡大にとってのいわば十分条件であり、日本のFIT法は、接続を拒否できる規定をもつ第5条などによって、再生可能電力の優先接続を十分に保証できていない。つまり、再生可能エネルギー導入拡大の必要条件はセットされたが、十分条件が保証されていないのである。

優先接続原則の確立が必要

 再生可能エネルギーの優先接続の原則は、ドイツのみならず、デンマークやスペインなどでも実現されて、ある時間帯の総電力に占める再生可能エネルギーの比率が、50%を超える場合も起きている。

 これが可能になったのは、発送電が分離されて、送電系統会社(TSO)が、差別なく再生可能電力を受け入れることが義務付けられているからである。ドイツでは、4大電力会社から4送電会社が分離され、デンマークでは公営企業のenerginet.dkが、スペインでも、同じくREE(Red Eléctrica de España)が送電網を一元管理している。

 風力や太陽光などの再生可能エネルギーが大量導入されると、 ・・・ログインして読む
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筆者

吉田文和

吉田文和(よしだ・ふみかず) 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

1950年生まれ、兵庫県出身、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。北海道大学大学院経済学研究科教授を経て2015年から現職。北大名誉教授。専門は、環境経済学、産業技術論、主著『ハイテク汚染』岩波新書、『環境経済学講義』岩波書店、最近は低炭素経済と再生可能エネルギーの普及に関心を持つ。札幌郊外の野幌原始林の近くに住み、自然観察と散歩を趣味とする。

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