2014年10月16日
九州電力と北海道電力など5電力会社は、原発の再稼働の申請を行う一方で、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力の受け入れ凍結宣言を行った。再生可能エネルギーを増やす固定価格買取制度(FIT)の根幹を揺るがすできごとだ。経団連も原発再稼働と再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の抜本的見直しを求めている(10月8日)。まず(上)では、開始から2年半しか経っていないFIT 制度をどうすればいいのかを、(下)ではあまり語られない「原発再稼働のコスト」などを考える。
電力会社の主張は、これまでに認定された大量の太陽光発電設備が送電線に接続され、実際に稼働した場合、大量の電力が流入し、コントロールすることができなくなるというのである。
FIT制度そのものは、再生可能エネルギー電力の買取価格と買取期間を保証することによって、再生可能電力の導入促進をねらったインセンティブ制度であり、再生可能エネルギー拡大のいわば必要条件である。
しかし、それと同時に再生可能電力の系統電力網への接続が保証されることが、再生可能電力拡大にとってのいわば十分条件であり、日本のFIT法は、接続を拒否できる規定をもつ第5条などによって、再生可能電力の優先接続を十分に保証できていない。つまり、再生可能エネルギー導入拡大の必要条件はセットされたが、十分条件が保証されていないのである。
再生可能エネルギーの優先接続の原則は、ドイツのみならず、デンマークやスペインなどでも実現されて、ある時間帯の総電力に占める再生可能エネルギーの比率が、50%を超える場合も起きている。
これが可能になったのは、発送電が分離されて、送電系統会社(TSO)が、差別なく再生可能電力を受け入れることが義務付けられているからである。ドイツでは、4大電力会社から4送電会社が分離され、デンマークでは公営企業のenerginet.dkが、スペインでも、同じくREE(Red Eléctrica de España)が送電網を一元管理している。
風力や太陽光などの再生可能エネルギーが大量導入されると、
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