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科学と社会をつなぐとは? サイエンスアゴラと米欧の先行事例

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 今年のサイエンスアゴラが11月9日に終わった。日本科学未来館とその近辺で繰り広げられる3日間のイベントだ。科学をめぐるさまざまなシンポジウムや展示、体験コーナーなどがある。2006年に始まり、今年で9回目を迎えた。米国にはAAAS(アメリカ科学振興協会)年会、そして欧州にはESOF(ユーロサイエンスオープンフォーラム)という、似たような行事がある。正確に言えば、アゴラはこの二つの先行事例をモデルにスタートした。しかし、これまでのところ行事の性格は先行の2例とは異なる。そこに日本の科学界の構造的問題点も透けて見える。

 アゴラとはギリシャ語で「市場」とか「広場」という意味。サイエンスアゴラは「サイエンスをとおしてみんながつながる『ひろば』」と説明されている。第1回の参加者は2000人程度だったが、3回目以降は数千人規模になり、今年は一般参加者約7000人、出展者約3000人と1万人規模になった。

11月9日午後に開かれたアゴラキーノートセッション「「転機を迎える科学 ~科学、社会、政策をつなぐ~」=日本科学未来館

 今年の特色は、海外からのパネリストを迎えたことだろう。ニュージーランド政府首席科学顧問のピーター・グルックマン氏、AAAS最高責任者のアラン・レシュナー氏、ユーロサイエンス事務局長のピーター・ティンデマンス氏、開発途上国における科学振興のための世界科学アカデミー(TWAS) 事務局長でルワンダ元文部科学大臣のロメン・ムレンズィ氏、そして東京の南アフリカ共和国大使館で科学技術担当公使を務めるユディ・マブーサさん。彼らと日本科学技術振興機構(JST)の大竹暁理事が開幕日午後のシンポジウムで壇上に並び、有本建男政策研究大学院大学教授の司会で「転機を迎える科学 ~科学、社会、政策をつなぐ~」というテーマで語り合ったのは、アゴラの国際化を象徴するものだった。

 AAASは1848年に設立された世界最大級の学術団体だ。

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