仕方がないで済ましていては、欧米先進諸国との差は広がるばかり
2014年12月02日
世の中は、健康、医療、食の問題にいつの時代も敏感だ。いつまでも健康で長生きしたいという人間たちの欲望は、今も昔も変わらない。
これらの問題は、常に私たち人間の身近にある。なぜかと言えば、私たち人間が根本的なところで拠って立つ基礎とも言うべき生物学的な背景が、漫然と広がっているからに他ならない。という言説と似たようなことを、4年前のWebronzaでも述べたことがある。じゃあこの4年間で何か変わったのかと言われれば、「いやほとんど変わっていない」という感想を申し上げることとなるであろう。
生物学の世界で今年最も話題になったことと言えば、やはりSTAP細胞問題だろうが、今はSTAP細胞に代わって、11月末時点で最も人々の話題をさらっている生物学的な話題は、エボラ出血熱だろう。
筆者はこれでも「生物学者」を標榜しているから、やはり生物学に関わることが一般市民の興味を惹起する形でメディア等で報じられるのは、啓発的な意味から歓迎すべきことだと思っているが、一方において、それが多くの問題を内包していることから目を逸らすべきではない、とも思っている。
文系・理系を問わず、すべての国民が等しく生物学の基本的な知識を身につけること、もしくは科学的なものの見方を養うこと。そのためにはやはり、義務教育段階もしくは高校段階での理科教育・生物教育の充実が不可欠であるのだが、問題はその内容だ。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください