特定秘密保護法のもう一つの問題点
2014年12月15日
特定秘密保護法が施行された。特定秘密となる案件の過半は情報収集衛星の画像が占めていると思われる。案件そのものが秘密だから確定したことは言えないが、すでに機密度の高い情報として扱われてきたのが情報収集衛星の画像である。そのためか、この衛星の実態については誰も駄目出しをしていない。しかし、きちんと予算や計画を吟味すると、とんでもない「高価な玩具」である実態が浮かび上がる。本稿では、なぜ高価な玩具なのか、そうなってしまった理由は何なのかを宇宙関係者の立場から論じたい。
情報収集衛星には、過去15年に渡って年間600~700億円が投じられ(図 )、2年に2機のペースで計12機が打ち上げられている。更に来年早々には2機が打ち上げ予定だ。年間コストに直すと1機あたり700~800億円となる。これは、最近打ち上がったはやぶさ2(10年間の総予算の300億円弱)の倍であり、ハワイのすばる望遠鏡(総建設費用400億円)の1倍半であり、8年ぶりにやっと打ち上げられた気象衛星ひまわりの総費用(一機あたり500億円)をも超える。
一般に、高さ数百km程度を飛ぶ重さ数百kgの人工衛星は、観測装置を除く総コストはせいぜい200億円であり、最新鋭の観測装置や難しい姿勢制御を搭載し、トラブル時のバックアップ機能(冗長系という)を加えても300億円は超えない。そして、300~500億円あれば、はやぶさのように10年~20年に一度のクラスの最新鋭技術を積んだ科学・実用プロジェクトが可能だ。この宇宙コストは欧米でも大して変わらない。だから情報収集衛星の予算に初めて接したとき私は目を疑い、各種資料で確認して愕然となった。確かに総額1兆円近い費用が投じられていたからだ。
それでも
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