奈良先端大東京フォーラム2014で見えてきた方向
2014年12月27日
イノベーションをもっと生み出さないと、という声は耳にタコができるほど聞いた。イノベーションが生まれるようにと政府はあれこれ手を打ってきている。2001年に発足した総合科学技術会議が、2014年に総合科学技術・イノベーション会議と改名したのは、その象徴だ。だが、どうもうまくいっているようには見えない。どうしたらいいのか。10月に開かれた奈良先端大東京フォーラム2014「未来の創造」(奈良先端科学技術大学院大学主催、朝日新聞社共催)では、そこが議論の焦点になった。
野間口有・三菱電機相談役/産業技術総合研究所最高顧問らが参加したパネル討論のハイライトは、奈良先端大の小笠原直毅学長が「本学では本当に成功したベンチャーの事例はまだ生まれてないと思う」と率直に語ったときだろう。「事業設計が甘かった」(小笠原氏)「トップダウンの大学発ベンチャー作りというところに最大の無理があった」(科学ジャーナリスト尾関章氏)などの「敗因分析」が出た一方、「まだトライアルの最初のステージなので、結論づけるのは少し早い」(高橋真木子・金沢工業大教授)と、大学ベンチャー擁護論も出た。
大学主催のシンポジウムは、えてして大学の宣伝に終始しがちだ。しかし、そうはせずにありのままの現状を議論の俎上にのせた小笠原学長には敬意を表したい。その英断があって、今回の討論はスリリングで実り多いものになった。
ロボット工学の第一人者、金出武雄・カーネギーメロン大学教授は
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