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2015年、第三次ロボットブームが花開くか?

尻すぼみになった第二次とのこれだけの違い

北野宏明 ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長

 最近、ロボットや人工知能に関する興味が高まってきている。

 2000年前後の、第二次ロボットブームの時には、学会での活動やメディアからの取材に追われたものである。自律型ロボットのサッカー大会「RoboCup」をスタートさせた直後であり、ホンダのP2, P3, ASIMOが登場、ソニーがAIBOを発売して大いに盛り上がった。

拡大ロボカップでデモンストレーションするホンダのASIMO=2002年6月19日、福岡市の福岡ドームで、安冨良弘撮影
拡大日本科学未来館で開かれたAIBOのPK大会=2002年10月19日

 家庭用などの新しいロボットの展示会ROBODEXがパシフィコ横浜で開催され、入場まで5時間待ちの状態になったのも懐かしい。1日に、数回の取材対応をこなすということも珍しくはなかった。当時、経産省は「2010年に1兆円の市場が創出される」とし、民間調査機関には「2015年には3兆円市場である」としたところもあった。実際には、iRobot社の掃除ロボット「ルンバ」のヒットなどはあったものの、予想されるまでの大きな市場には成長してこなかったといえるであろう。

 それから10年が経ち、第3次ロボットブームの様相である。今回も、メディアの取材は増えているが、大きく違うのが、投資家からのコンタクトが増えている点である。シリコンバレーのベンチャーキャピタルから大手機関投資家まで、多様な投資家がロボットや人工知能関係のビジネスに注目している。さらに、ロボットとは直接関係ないが、技術やサービス分野でしっかりした事業を展開している企業の経営陣へのセミナーも行っている。これらは、前回のロボットブームの時にはなかった現象である。

 では、今回のブームと前回の違いを技術面から見てみよう。まず、

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筆者

北野宏明

北野宏明(きたの・ひろあき) ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長

ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長。1984年国際基督教大学教養学部理学科卒業後、日本電気に入社。88年米カーネギー・メロン大学客員研究員。91年、京都大学で博士号(工学)を取得。1993年ソニーコンピュータサイエンス研究所入社、犬型ロボットAIBOなどの開発にかかわった。2008年に現職。NPO法人システム・バイオロジー研究機構会長を兼務。Computers and Thought Award (1993)、ネイチャーメンター賞中堅キャリア賞(2009)などを受賞している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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