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続・日本のイノベーション政策の絶対矛盾を衝く

「リスク」から「失敗」を連想する日本人、「大成功」をイメージする米国人

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 イノベーションの障壁となっているものの説明を続ける。

オールジャパンというキャッチフレーズは逆効果

拡大理化学研究所融合連携イノベーション推進棟の建設予定地=2014年5月、神戸市中央区、水野義則撮影
 国を挙げてひとつの目標に向かって皆で力をあわせてがんばろう、というときに頻繁に使われる「オールジャパン」というキャッチフレーズがイノベーションを妨害している。iPS細胞の再生医療への展開においても耳にタコができるほどこのキャッチフレーズが叫ばれている。

 スポーツなどで皆が力をあわせて金メダルを目指すときには良いのだが、イノベーションに関しては逆効果だと筆者は考える。オールジャパンといわれると、その波にのらないと除け者のような疎外感を感じざるをえないし、酷い場合には非協力者のレッテルが貼られたりする。

 また、一旦オールジャパンの認定が下されると、加速度的にそのこと(もの)一辺倒になるのが日本の常だ。例えば、前述のように、イノベーションに関して国家レベルの指針が示されると、皆が無心にその指針に完璧に沿うように一気に突っ走る。つまり、「右に倣え」が始まってしまう。これでは、イノベーションは起こりにくい。「右に倣え」と指示がくだった時に「舌を出して左を向く」ようなお茶目な者を重宝にあつかう雰囲気がイノベーションには不可欠なのだ。

効率重視は想定内の発見しか生まない

 無駄を最小限に抑え究極の効率を志向するメンタリティーは日本人の特性であるし、そういった技術やモノを創出することは、ある意味日本の得意とするところである。また、受験勉強に代表されるように、学校での教育も、効率崇拝型の人間作りに重点がおかれている。

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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

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