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目に余る日本の学位論文の不正

図の盗用、データの盗用、そして文章のコピペ

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 各大学で学位審査が始まっている。大学院生たちはこれまでの研究を修士・博士論文としてまとめ、審査される。合格すれば、めでたく学位取得となる(もちろん、その他の必要単位を修得していればだが)。

 筆者は、米国の医学・生命科学系の大学院(ハーバード大学、テキサス大学サウスウエスタン医科大学院、コーネル大学)で約15年間(1995 – 2009)、そして日本の奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科で約5年間(2009 - 2014)、修士論文と博士論文の審査に教員として関わってきた。また、日本では、他の国内大学の数多くの教員の方々からそれぞれの大学での学位審査の状況を教えて頂いた。その体験から、日本の大学の学位論文には不正が非常に多いと痛感している。もちろん、審査の過程で捉えられ、書き直しあるいは不合格とされる場合もあるのだが、意外と多くの学位論文が審査網を潜り抜けているのが現状だ。私が勤めていた米国の大学とは明らかに状況が違う。

拡大小保方晴子氏の博士学位論文の取り扱いについて会見する、早稲田大学の鎌田薫総長(中央)ら=2014年10月7日午後、小玉重隆撮影

 昨年の「小保方事件」以来、大学における学位論文の不正が公に取り上げられるようになっているので、本論考では、これまで筆者が特に頻繁に目にした学位論文の不正を説明する。

 ここで、ひとつ断っておくが、筆者の経験はすべて理系、そして主に生命科学系の学位論文審査なので、以下のポイントは、もしかすると文系などその他の分野には当てはまらないかもしれない。

図の盗用

 もっとも頻繁に目にする不正は「図の盗用」だ。これらのほとんどは、 ・・・ログインして読む
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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

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