2015年03月06日
トークショー「数学と理科の楽しみ方」(数学者秋山仁氏×生物学者武村政春氏×朝日新聞編集委員高橋真理子,2015年1月28日,東京理科大学数学体験館にて)の採録を続ける。
高橋 あります。
武村 私なんかは子供のころからカブトムシとかも捕ったことがなくて、イモムシも触るのも嫌だという人間なものですから。そういう人間がなぜ生物学者をやっているかというと、今、分子生物学というのは試験管の中の液体を扱っているようなものです。生物個体を生で見ることはない。だから生物が嫌いでも生物学をやれる。これをアピールしたい。
例えば実験をたくさんやらせなければいけないとか、実験がやられなくなったから理科離れが進んでいるという議論がありますね。僕自身は子どものころはあまり実験は好きじゃない方で、高校時代も実験をしたという記憶があまりないんですね。もちろん僕は生物部に入っていたもので、その意味では生物好きだったんではあるんですけれども……
高橋 どうしてなんですか? 昆虫が嫌いで生物部に入るって・・・
武村 その生物部は昆虫を使ってなかったからですね。
高橋 何をやっていたんですか?
武村 何をやっていたか忘れましたね。忘れたぐらい、ほとんど何もしなかったんですけど。それでもやはり理科の魅力というものに取りつかれて私は今ここにいるわけなんです。何でなのかなと自問しているところがあります。だから今、「実験嫌いな子でも理科好きになるための方策」というテーマで研究もしているんです。つまり実験嫌いな子にも門戸を開くような、そういう科学教育もありなんじゃないかなと思っています。
高橋 先ほど秋山先生は、数学に能力は関係ない、執着心だけだとおっしゃいましたけれども、私は
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