木星の衛星ガニメデの研究が示唆する「オーロラ実用化」の可能性
2015年04月09日
米国航空宇宙局(NASA)が3月に惑星オーロラ関係のプレスリリースを続けて出した。木星最大の惑星Ganymede(ガニメデ)のオーロラから氷の下の海が塩水であると推定したものと、火星で新しいタイプのオーロラが見つかったというものだ。
オーロラの研究は国際地球観測年(1957〜1959年)に世界中にカメラを設置したことで大きく発展し、60〜70年代に地上観測のピークを、80年代に人工衛星観測のピークを迎えたが、90年代末までには科学的課題の多くが解明されて研究も下火となり、今では細々と続けているのが実情だ。
その代わりに盛んになりつつあるのが惑星・衛星のオーロラだ。今回の新発見もその流れの延長にあるが、特筆すべきなのは、オーロラそのものより、「オーロラを使って地下や上空の構造を調べる」という、いわば応用地球科学に踏み込んだことだ。本稿ではリリースにあった「地下探査」の原理と、地球のオーロラを使った同様の応用の可能性について簡単に説明したい。
地球外で初めてオーロラが見つかったのは木星である。既に79年にボイジャーと国際紫外線探査機(IUE)の両方がオーロラ光を検知し、90年代にはハッブル望遠鏡によって詳細な姿が撮影・一般公開されるようになった。
木星オーロラが探知された2年後には土星でもオーロラ光が発見されている(ボイジャーとIUEの両方)。その後、ボイジャーは天王星でもオーロラを発見し、巨大惑星にオーロラがあるのは常識となった。
地球型惑星(水星、金星、火星)で、同じぐらいに強いオーロラがある星はまだ見つかっていない。磁場がない(金星と火星)か、大気がない(水星)のが原因である。今から約10年前に欧州宇宙機関のマース・エクスプレスが火星で微弱なオーロラが発見したが、それは火星南半球の一部に広がるモザイク状の残留磁場地域の上であった。
衛星はどうか?
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