国連人口基金オショティメイン事務局長に聞く
2015年04月21日
西アフリカのエボラ出血熱に国境なき医師団が緊急対応を始めたのは昨年3月だ。流行地域にエボラ治療センターを設置し、感染者と接触した人の追跡調査などに取り組んだ。しかし、流行は拡大し、8月8日に世界保健機関(WHO)は「緊急事態」を宣言。マーガレット・チャン事務局長は、多くの死者が出ているギニア、シエラレオネ、リベリアについて「保健システムがとても貧弱」と指摘、国際社会の協力を求めた。
これに応じて、国連人口基金(UNFPA)は流行地域の妊産婦の健康を守る活動を始めた。事務局長のババトゥンデ・オショティメイン氏が2015年3月に来日した機会に、エボラ出血熱対策の現状や課題を聞いた。
――エボラの流行はおさまってきたのでしょうか?
リベリアではおさまってきたと思う。シエラレオネも良い方向に向かっている。西アフリカでの最悪の時期は脱したといえます。だが、まだ安心はできません。たった1人でも感染者が現れれば、そこからまた流行が始まる危険があるからです。
――人口基金が取り組んでいるのはどんなプロジェクトですか?
エボラは3カ国の保健医療システムをなぎ倒してしまった。病院にエボラ感染者が集まったことで、それ以外の人たちが病院を敬遠するようになり、もともと脆弱だった保健医療システムが機能しなくなってしまったのです。そこで私たちは国連ボランティア計画(UNV)などの姉妹団体と協力して、妊産婦に必要な保健サービスの復旧プロジェクトを始めました。具体的には、エボラに感染していない一般の妊産婦のためのセンターをつくり、そこに助産師を派遣するというものです。
――何人ぐらい派遣するのですか?
3カ国に500人を計画しています。今のところ、250人余りでスタートしました。ケアを得られなかった多くの妊婦や母子にライフラインを提供できると思っています。昨年11月から始めたばかりなので、まだ評価は難しいのですが、あと半年ほどたてば軌道に乗るでしょう。
――これまでのところで得られた教訓とはどんなものですか?
私たち
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