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ドローンは携帯電話の技術から生まれた

規制一辺倒ではなく、将来の無人化技術を見据えた議論を

山下哲也 エバンジェリスト、山下計画(株) 代表取締役CEO

 首相官邸に落下したドローン。いわゆる無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle)の一つであるマルチコプターは、ぱっと見た限り、従来からあるラジコンヘリの一種、愛好家向けのホビー製品のような外観だ。

拡大量産する工場の敷地でデモ飛行するドローン=2015年2月20日、福島県南相馬市、関口聡撮影

 ともすると玩具のような印象を受けるが、この機械には様々な最先端技術が駆使されている。その多くは、20世紀末から急速に進化した携帯電話で培われ、2007年に登場したiPhoneに代表されるスマートフォンがドローン商品化の大きな原動力となっていることは意外と知られていない。

 今回はこのドローンと携帯との不思議な関係と無人化を支える技術について紹介し、規制についてばかり関心が集まる現状に警鐘を鳴らしたい。

デバイス技術を飛躍的に進化させた携帯電話

 海外では類をみないその独特の仕様から「ガラパゴス・ケータイ」、いわゆるガラケーと呼ばれる日本の携帯電話だが、この手のひらに収まる小さな機械の中には無線装置や電話機能以外に、驚くほど多数の高度な技術が詰め込まれている。

 90年代は小型・軽量化を競っていた携帯電話市場だが、今世紀に入りデジタルカメラ搭載が始まったことを皮切りに、多機能化へと競争がシフトした。モバイル決済、いわゆる「おサイフケータイ」に用いられる非接触通信技術(NFC)や、位置情報を取得するためのGPSなど、次々と最新技術が搭載されたほか、様々なモーションや傾きを検知する加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気センサーなど多様なセンサー類を搭載。合わせてCPU(中央演算処理装置)やメモリーは次々に強化・拡張され、複雑なソフトウェア処理を可能とする強力なコンピューティング・デバイスへと進化した。

 同時に携帯電話市場の激しい競争は、搭載される部品の全てについて、極限までの小型化、徹底した省電力化、そして製品差別化のための高機能化と低価格化を強く要求した。とりわけ小型化・省電力化の要求条件の厳しさは段違いであり、ここで得られたノウハウと技術革新の成果は、ドローンをはじめとする様々な最新デバイスの商品化に大きく貢献している。

拡大空飛ぶドローンを真下から見上げた=関口聡撮影

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筆者

山下哲也

山下哲也(やました・てつや) エバンジェリスト、山下計画(株) 代表取締役CEO

NEC・Motorolaにて携帯電話のシステム開発に従事、NTTドコモではi-mode及びスマートフォン戦略担当として各種戦略提携・スマートフォン導入にあたるなど、20年以上モバイルIT分野を歩み、2012年に独立、ITイノベーションの研究及びビジネス開発支援を行う山下計画株式会社を設立。2015年より近距離無線の国際標準規格NFCの普及に向けた活動に取り組む。2007年 マサチューセッツ工科大学 Sloan FellowsにてMBAを取得。
Twitter : @tetsu_yamashita
Facebook : https://www.facebook.com/tetsuya.yamashita.90
【2017年3月WEBRONZA退任】

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