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東京はロンドンを超えようとしているのか

「持続可能なオリンピック」実現への岐路

大野輝之 公益財団法人自然エネルギー財団常務理事

重要なのは都市のイニシアチブ

 オリンピックと環境の関係が明確に意識されるようになったのは、1994 年に国際オリンピック委員会(IOC)が、パリで開催されたオリンピック100 周年会議において、「スポーツ」「文化」に加え、「環境」をオリンピック精神の第三の柱とすることを宣言して以来と言われる。この環境重視の姿勢は、その後、オリンピック憲章の改正にも反映されたし、IOCがオリンピック開催をめざす都市に提出を求める立候補ファイルの中でも、環境分野の比重は大きい。

 現在のIOCが大会開催において、環境、持続可能性の確保を重要視するようになったことは間違いないが、見落としてならないのは、こうした変化はIOCの主導によるトップダウンによるものではなく、開催都市側のイニシアチブによるものだ、ということである。

 オリンピック、特に冬季オリンピックは、大会施設の建設による自然破壊が長らく批判の対象になっていた。1992年のアルベールビル・オリンピックが「ローヌ川上流を運河に変えた」と厳しく批判された後、1994年のリレハンメル・オリンピックが、初めて「持続可能な大会」の理念を掲げた。このあと、夏の大会としては2000年のシドニー・オリンピックが初の「グリーンゲーム」として開催された。

 開催都市において大会プランニングの当初から、NGOも深く関わりながら持続可能なオリンピックを実現していった過程は、別に書いた(*)ので、ここでは詳述しない。大事なのは、オリンピック大会が持続可能なものになるかどうかは、開催都市のイニシアチブにかかっている、という点だ。2020年の東京オリンピックに懸念されるのは、大会運営の中心を担う組織委員会が、この点をどれほど明確に認識しているのか、である。

*大野輝之「オリンピックムーブメントと持続可能性」日立環境財団 環境研究175号

オリンピックでよみがえったリー川周辺の地域
拡大オリンピックでよみがえったリー川周辺の地域
ロンドンの都市開発に活きる大会のレガシー

 2012年のロンドン・オリンピックは、立候補段階から「持続可能なオリンピック」をメーンコンセプトに掲げていた。大会後の2012年12月に、ロンドン・オリンピック組織委員会(LOCOG)が公表した「ロンドン2012 ポストゲーム・サステイナビリティリポート」は、大会運営に直接起因する温室効果ガス排出量を標準ケースから28%削減したこと、大会期間中に発生する廃棄物を再利用などにより埋め立て処分量をゼロにする目標の達成などをあげ、ロンドン・オリンピックが現代における「最も持続可能な大会」になった、としている。

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筆者

大野輝之

大野輝之(おおの・てるゆき) 公益財団法人自然エネルギー財団常務理事

東京大学経済学部卒。1998年より東京都の環境行政を担当し、ディーゼル車排ガス対策、「温室効果ガスの総量削減と排出量取引制度」の導入など、国に先駆ける都の環境政策をリードした。2010年7月から3年間、東京都環境局長を務める。2013年11月より現職。2014年、カリフォルニア州からハーゲンシュミット・クリーンエア賞を受賞。著書に『自治体のエネルギー戦略』(岩波新書)など。

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