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シャープがここまで深刻な経営危機に陥ったわけ

転落の兆しは2004年から見えていた

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

敢えて中小企業になろうとしたシャープ

 シャープが2014年度の決算で2223億円の赤字を計上し、経営破綻の危機に陥っている。この危機に対し高橋興三社長は、資本金1218億円を5億円に減資して損失の穴埋めに充て、国内で3500人規模の希望退職を募集し、従業員の給与をカットし、大阪本社の土地と建物を売却する再建策を発表した。

 資本金については当初、1億円へ減資すると発表した。資本金1億円になると、法人税法上、中小企業として扱われ、外形標準課税を免れるなどの優遇措置があるからだという。

 この奇策に、宮沢洋一経済産業相が「違和感がある」と不快感をあらわにした結果、シャープは1億円への減資は断念し、5億円に計画変更した。

 売上高3兆円、社員5万人の企業が、敢えて中小企業になろうとしたわけだが、そこまで追い詰められたのかと驚くと同時に、あまりの奇策に呆れかえったというのが正直なところだ。

シャープ転落の直接的要因

 なぜ、シャープはここまで転落したのか? 直接的な要因としては、中国のスマホトップメーカー・シャオミへの液晶パネルビジネスを、ジャパンディスプレイに奪われたことにある。

 ジャパンディスプレイは、いわば「日の丸ディスプレイ」とも言うべき会社である。政府系ファンドの産業革新機構が主導して、ソニー、東芝、日立の3社のディスプレイ部門を統合し、2012年4月1日に設立された。

 当初はシャープにも参加の打診があったが、シャープはこれを拒否した。恐らく、自社の技術に相当の自信(過信かもしれない)があったことと、政府の意向が関与することを嫌ったからではないかと思われる。そのジャパンディスプレイにビジネスを奪われて窮地に陥るとは皮肉なことである。

 しかし、危機はある時突然やってくるものではない。 私は、10年以上前からシャープ転落の予兆を感じていた。以下では、その詳細を論じたい。

シャープ転落の予兆その1

 最初は、

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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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