ノーベル賞学者の女性差別騒動から見えた日本の特殊性
2015年06月19日
科学ジャーナリスト世界会議(ソウル)の昼食会での英国のノーベル賞学者ティム・ハント氏の女性差別発言をめぐる報道は、今も世界各地で続いている。
アルゼンチンではラジオ番組で男性キャスターが「ハント氏の言うことはもっともだ。女性はよく泣く」と議論を始め、コメンテーターとして参加した2人の女性ジャーナリストが反論したという(コメンテーターを務めた女性ジャーナリストからの私信)。メキシコのウェブメディアにも18日にまとめ記事が出た。英ガーディアン紙は、17日に「仕事場では男性の方が女性よりよく泣く」という記事を掲載。日本ではそれほど大きな話題になっていないが、今回の騒動から日本社会のありようも見えてくる。
英ガーディアン紙の17日の記事は、ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏が「観察したことをそのまま言っただけでしょ」とハント氏を擁護したことに対する反論で、「泣く行動」を長年調べているオランダの大学教授の最新研究を紹介している。ジョンソン氏はこの教授を「世界最高の泣きの専門家」とし、その研究で女性は男性よりよく泣くと立証されていると、よりどころにした。ところが、最新の研究で職場では逆の結果が出ていることを同紙は報じたのである。
ガーディアンの電話取材に答えた教授によると、職場における調査は他に例がなく、教授が3年かけて心理セラピストについて調べたものが唯一だという。調査対象の87.4%がセラピー中に少なくとも1度は泣いたと認め、その割合は意外にも男性の方が高かったと教授は話した。
一般的な状況では女性の方がよく泣くというデータがあるが、職場では逆だという科学的な研究成果が少なくとも一つあるわけだ。
昼食会を主催した韓国女性科学技術者連盟(KOFWST)は、16日に「24時間以内に発言を公式に認めて謝罪する」ようにハント氏に要求し、氏は即座に「私の愚かで無分別な発言を謝罪する機会を与えてくださったことに心から御礼申し上げます」で始まる謝罪メールを送った。「自分の欠点をジョークにしようとした試みはまったく無分別で、ちっとも面白くなかったことを認めます。私を
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