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韓国の原子力はどこへ向かうのか

韓国の与党国会議員に聞く

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 韓国の与党セヌリ党の比例代表名簿第一位に指名されて2012年に国会議員に当選したミン・ビョンジュ氏は、九州大学大学院で原子核物理の博士号を得た研究者である。議員になる前は韓国原子力研究院(KAERI)研修院長などを務め、セヌリ党でもエネルギー特別委員会委員や院内副代表などの要職を務める。ソウルで、韓国の原子力政策について日本語でインタビューした。

――まず、原子力へのご自身の基本的な考え方をお聞かせください。

拡大ミン・ビョンジュ議員

「原子力については賛成派か反対派か、どちらかに分かれるような質問を受けますが、私としては二つに分かれるのではなく選択の問題だと考えています。安全は非常に大事で、韓国の原発はもっと安全対策をきちんとすべきですが、そのもとで経済や環境などいろいろな条件を考えてどうするのか、国民との話し合いで選択する必要があると考えます。いま韓国では、反対派が日本は福島事故の後に原発をすべて止めている、だから韓国もそうすべきだと主張しています。しかし、韓国と日本やドイツは事情が違います。ドイツは供給予備率が5割以上あるので原子力を止めても問題ないですし、日本も予備率が韓国より高いので節約すれば大丈夫でした。韓国の予備率は2年前の数字で7.7%、電力の3割は原子力に頼っているのに原子力を全部止めてどうしようというのだろうと思います。予備率だけを見ても韓国は他の国と全然違う。それに、ドイツは原発を減らして電気料金が高くなりましたよね。韓国は電気料金を30年ぐらい据え置いて、2年前から少しずつあげるようになりましたが、国民は電気料金を安くしてほしいと言います。それで原子力は使いたくないといっても、それは韓国ではできない。そういう事情を国民に正確に知らせる必要があると思います。こういうのを全部国民に知らせて、それでも原子力を使いたくない、というのなら、それは国民の選択ですよね」

――国民の意見をどうやってくみ上げるのでしょうか。

「それは難しいですよね。私が言っているのは、単に安全だけの問題を話すとやはり国民はやめたくなるわけで、安全の問題と経済の問題を一緒に考えないといけないということです」

――その討論の場が韓国にはあるのでしょうか?

「あんまりないかもしれません。野党は反対するので、政治の中では討論になる感じです。政府は続けざるをえないという考えですが、与党の中にもやめたいという人が結構います。野党はほとんどやめようという人。だからエネルギー政策について話し合う場をつくるべきだと与党の指導部に訴えているところです。指導部も『そういう場は必要だ』というのですが、どうすればいいかという段になると『関心のある人でやって欲しい』となってしまう。2年前に韓国の第2次エネルギー計画を作るとき、私が提案して党の中にエネルギー特別委員会をつくりました。計画作りが終わってそれは自動的になくなりましたが、そういうのが必要だと考えています」

――韓国の原発は安全対策をもっとしっかりするべきだというご意見ですが、

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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)、編集委員を経て科学コーディネーターに。2021年9月に退社。著書に『重力波 発見!』『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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