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期待が大きい油井飛行士のミッション

米ロの失敗相次ぐ中で、8月16日には日本の「こうのとり」打ち上げ

山崎直子 宇宙飛行士

拡大油井亀美也さんを乗せたソユーズ宇宙船の打ち上げ=7月23日午前3時2分(日本時間午前6時2分)、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地、日吉健吾撮影
 2015年7月23日、油井亀美也飛行士がソユーズ宇宙船で宇宙に旅立ちました。打ち上げから5時間半後には国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、さらにその2時間後にはISSの中に乗り組んで元気な笑顔を見せてくれました。

 私が搭乗したスペースシャトルを含め従来の方式では、ISSにドッキングするまで約3日間かかっていたのですが、誘導制御の精度が高まり、海外旅行に行くような時間の感覚でISSまで到着できるようになりました。便利になったものだと思います。

 宇宙に行くと約6割の人が宇宙酔いに悩まされるため、従来は敢えて慌てずに時間をかけてISSにドッキングし、その間に体調を整えて、ISSに乗り移ったらフル稼働で働けるようにという配慮もありました。ちなみに、宇宙酔いとは、気持ち悪くなったり吐いたり、症状は乗り物酔いと近いのですが、両者に相関関係はないことがわかってきました。つまり、乗り物に強い人でも宇宙酔いになる場合もあれば、乗り物に弱い人が宇宙でけろっと元気にしている場合もあります。まだメカニズムが把握できていないため、自分の体がどう反応するのかは、実際に宇宙に行ってみるまでわからない、予測が出来ない、という点も興味深いものです。もっとも、たとえ宇宙酔いにかかったとしても、症状を緩和させる薬や注射を持参していますし、1〜2日経つと順応して症状が消えていくものです。

 油井さんは、航空自衛隊出身ということでも注目されています。ロシアやアメリカでは、初期の宇宙飛行士は皆軍人でしたし、今でも半数弱は軍出身です。しかし、自衛隊出身の人が宇宙へ行くのは今回が初めてで、大きな責任を感じていることでしょう。でも、「僕は長野県出身ですが、野菜がきらいで・・・」などと話してくれる素朴さがあり、ひょうひょうと任務を果たしてくれるような気もします。強さと優しさを兼ね備えた油井さんが、どのようにミッションを遂行していくのか、楽しみに応援したいと思います。

拡大国際宇宙ステーション(ISS)に到着した油井亀美也さん=写真左。仲間の宇宙飛行士とともにカメラの前に並び、家族らと交信した=NASATVから

 本来は5月に打ち上げの予定でしたが、ロシアのプログレス補給船が今年4月に制御不能となる事故が起き、ソユーズ宇宙船にも一部共通の部品が使われているため、事故の原因究明のため打ち上げが延期された経緯があります。その他にも、昨年10月にはアメリカのシグナス補給船3号機をのせたアンタレスロケットが打ち上げに失敗し、今年6月にはドラゴン補給船7号機を搭載したファルコン9ロケットも打ち上げに失敗していました。ですから、今回の打ち上げは、 ・・・ログインして読む
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筆者

山崎直子

山崎直子(やまざき・なおこ) 宇宙飛行士

宇宙飛行士、立命館大学客員教授、女子美術大学客員教授。東大工学部航空学科修士課程修了、1996年に宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)に入り、2001年に宇宙飛行士に認定。10年にスペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗、国際宇宙ステーション組み立てに参加した。2011年8月に宇宙航空研究開発機構を退職。著書に「夢をつなぐ」(角川書店)など。

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