米ロの失敗相次ぐ中で、8月16日には日本の「こうのとり」打ち上げ
2015年07月28日
私が搭乗したスペースシャトルを含め従来の方式では、ISSにドッキングするまで約3日間かかっていたのですが、誘導制御の精度が高まり、海外旅行に行くような時間の感覚でISSまで到着できるようになりました。便利になったものだと思います。
宇宙に行くと約6割の人が宇宙酔いに悩まされるため、従来は敢えて慌てずに時間をかけてISSにドッキングし、その間に体調を整えて、ISSに乗り移ったらフル稼働で働けるようにという配慮もありました。ちなみに、宇宙酔いとは、気持ち悪くなったり吐いたり、症状は乗り物酔いと近いのですが、両者に相関関係はないことがわかってきました。つまり、乗り物に強い人でも宇宙酔いになる場合もあれば、乗り物に弱い人が宇宙でけろっと元気にしている場合もあります。まだメカニズムが把握できていないため、自分の体がどう反応するのかは、実際に宇宙に行ってみるまでわからない、予測が出来ない、という点も興味深いものです。もっとも、たとえ宇宙酔いにかかったとしても、症状を緩和させる薬や注射を持参していますし、1〜2日経つと順応して症状が消えていくものです。
油井さんは、航空自衛隊出身ということでも注目されています。ロシアやアメリカでは、初期の宇宙飛行士は皆軍人でしたし、今でも半数弱は軍出身です。しかし、自衛隊出身の人が宇宙へ行くのは今回が初めてで、大きな責任を感じていることでしょう。でも、「僕は長野県出身ですが、野菜がきらいで・・・」などと話してくれる素朴さがあり、ひょうひょうと任務を果たしてくれるような気もします。強さと優しさを兼ね備えた油井さんが、どのようにミッションを遂行していくのか、楽しみに応援したいと思います。
本来は5月に打ち上げの予定でしたが、ロシアのプログレス補給船が今年4月に制御不能となる事故が起き、ソユーズ宇宙船にも一部共通の部品が使われているため、事故の原因究明のため打ち上げが延期された経緯があります。その他にも、昨年10月にはアメリカのシグナス補給船3号機をのせたアンタレスロケットが打ち上げに失敗し、今年6月にはドラゴン補給船7号機を搭載したファルコン9ロケットも打ち上げに失敗していました。ですから、今回の打ち上げは、
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