日本に迫られる核燃料サイクル政策の見直し
2015年09月21日
ニューヨークタイムズ紙(2015年9月7日付)に「イラン核合意で話題にされないプルトニウム」という見出しの分析記事が出た。イラン核合意は主にウラン濃縮施設や能力についての交渉であったと見られているが、実は極めて重要な部分がこのあまり注目されていない「プルトニウムに関する合意」だった、という内容だ。これは、今後の核不拡散政策のみならず、日本の再処理・核燃料サイクル政策を考えるうえでも重要な意味を持つと思われるので、その内容を吟味してみよう。
まず、イランとP5+1(中国、フランス、ロシア、英国、米国、ドイツ)・EU間で結ばれた歴史的といわれる核合意の全貌を見ると、その広汎でかつ詳細な内容に驚かされる。主な内容は主文が「A. ウラン濃縮、濃縮研究開発、在庫」「B. ARAK(重水炉と重水プラントのある地名)サイト、重水炉、再処理」「C. 透明性、信頼醸成措置」の3項目17節、これに「制裁」「実行計画」「紛争解決メカニズム」などが加わり全37項目、さらに詳細な付属文書がついて、全159頁の大作である。
この中で最も注目されたのがA「ウラン濃縮」の項目である。P5+1側としては、濃縮能力、濃縮度、研究開発、新施設等について10~15年間限定することで、イランが核武装に十分な濃縮ウランを生産する期間(「ブレークスルー期間」と呼ぶ)を12か月以上にすることができたとしている。これが今回の核合意の最大の成果として注目された。
しかし、専門家の見方は少し違うようだ。筆者も意外だったのが、
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