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3年連続の的中なるか? ノーベル物理学賞予想

最有力候補は「太陽系外惑星の発見」のメイヨール、ケロス、マーシーの3名

大栗博司 理論物理学者、カリフォルニア工科大学教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長

 毎年この時期になると、WEBRONZAの編集部から、ノーベル物理学賞授賞者の予想記事を書くように依頼がある。一昨年は「本命は、素粒子物理学の分野の「ヒッグス粒子の発見であると思う」と書き、昨年は「トポロジカルな絶縁体の予言と検証もしくは青色発光ダイオードの実現に授賞されると予想する」と書いて、いずれも正解だった。毎年当ててしまうと、賞の威信にかかわるので、今年は外しておいたほうがよいかもしれない。

 物理学は、極微の素粒子の世界から、巨大な宇宙全体にいたる、幅広い対象を研究する。原子よりも小さいサイズの現象をあつかう素粒子物理学、原子から私たち人間のサイズの現象をあつかう物性物理学、それよりも大きい現象をあつかう天体物理学と、大まかに3つの分野に分かれている。どの分野でも重要な発見が相次いでおり、それらの軽重を客観的に比較することは難しい。授賞委員会としては、各分野の授賞回数のバランスも考慮に入れると思われる。

 1990年からの24回の授賞のうち、過半数の13回が物性物理学。残りの11回は、素粒子物理学が7回、天体物理学が4回と、ほぼ2:1の比になっている。一昨年は素粒子物理学(ヒッグス粒子の予言)、昨年は物性物理学(青色発光ダイオードの実現)に授賞があったので、今年は素粒子物理学か天体物理学の研究に授賞される可能性が高いと思う。

 素粒子物理学が対象であれば、ニュートリノの質量の発見が有力だと思う。

 2002年には、超新星爆発からのニュートリノの検出に対し、小柴昌俊とレイモンド・デイビスが受賞しているが、これは、ニュートリノ天文学という新しい分野を開拓したことに対するものである。これに対し、日本のスーパーカミオカンデ実験が、大気ニュートリノの振動を世界で初めて確認し、ニュートリノに質量があることを発見したことは、別個の、そしてそれ自身偉大な業績である。

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筆者

大栗博司

大栗博司(おおぐり・ひろし) 理論物理学者、カリフォルニア工科大学教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長

カリフォルニア工科大学ウォルター・バーク理論物理学研究所所長およびフレッド・カブリ冠教授。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長。アメリカ芸術科学アカデミー会員。1962年生まれ。京都大学理学部卒、東京大学理学博士。プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを歴任。著書に『重力とは何か』『強い力と弱い力』『数学の言葉で世界を見たら』(いずれも幻冬舎)、『大栗先生の超弦理論入門』(ブルーバックス)など。

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