本命「ゲノム編集」より有望な研究を大胆予測
2015年09月28日
今年もノーベル賞発表の時期がやってきた。ノーベル医学生理学賞の発表は10月5日に予定されている(ちなみに、この日は筆者の誕生日である)。そこで、恒例のノーベル医学生理学賞の今年の受賞者を占おう。
去年の筆者の予想は、遺伝学の分野、特に21世紀の医療に欠かせないパーソナライズド・メディスン(個別化医療)またプリシジョン・メディスン(精密医療)に必須の「ゲノムマッピング・解読技術」の発明者であるDavid Botstein(デイビッド・ボッツティン)とEric Lander(エリック・ランダー)だった。外れてしまったものの、実は今年こそと密かに思ってはいる。しかし、同じ予想をしては原稿として成り立たないこともあり、新たな予想を本稿では述べる。
誰もが「受賞するのでは」と思うのが「CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術の発明」だ。2012年〜2013年に、米国カリフォルニア大学バークレー校のJennifer Doudna(ジェニファー・ダウナ)(「d」の発音はほぼ舌の動きだけなのでカタカナ表記では省いた)、スエーデンウメア大学のEmmanuelle Carpentier(エマニエル・カーペンティア)、米国ブロード研究所・マサチューセッツ工科大学のFeng Zhang(フェン・ザン)により発明された技術で、これによりヒトを含む多くの生き物のゲノムを自由自在に、しかもアマチュアサイエンティストでも簡単にできる簡便さで編集することが可能になった。
この発明は、あっという間に世界中に広まり、発明から2年しか経っていない現在(2015年)までに様々な改良が施され、医学・生命科学の分野の研究開発にすでに広く浸透している。この汎用性、幅広い浸透率は、遺伝子増幅技術PCR(ピー・シー・アール)の発明以来の勢いだ。ちなみにPCRの発明者であるKary Mullis(カリー・マリス)は1993年にノーベル化学賞を受賞した。したがって、多くの医学・生命科学研究者が、この3名を今年の本命と考えるのも当然だろう。しかし、筆者の予想は違う。
筆者の今年の予想は、
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください