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世界平均気温が再び急上昇の兆し

英国気象局が自然変動モードの反転を示唆

江守正多 国立環境研究所 地球環境研究センター副センター長

 昨年から今年にかけて、世界平均気温が観測史上最高記録を更新する月が増えており、特に今年5月以降はその更新の程度が著しい。地球の気候に一体何が起きているのだろうか。

 地球温暖化の最も直接的な指標は世界平均気温の変化だろう。
 私たちはもちろん自分の住んでいる日本の気温の変化を体感しており、地球温暖化について考えるときにさえ、それに注目しがちである。しかし、地域的な気温はその時々の周囲の気圧配置の特徴に大きく影響されることに注意したい。

 日本の気温が高い年ほど世界平均気温も高いとは限らないし、日本の気温がほどほどでも世界平均気温は記録的に高いことがある。世界平均気温の変化は気象庁のホームページで簡単に見ることができるので、ぜひたまに見にいってみていただきたい。

 世界平均気温は、1980年代、90年代に顕著に上昇した。そして、この時期は地球温暖化が科学の問題に留まることをやめ、社会の問題として急速に世界の注目を集め始めた時期と一致する。

 ところが、1998年をピークに、今世紀に入って世界平均気温の上昇は鈍化する。

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 例えば2009年、世界はコペンハーゲンで行われた国連気候変動枠組条約COP15で国際合意に失敗したわけだが、この前年の2008年の世界平均気温は「今世紀に入って最低」であった。これは2001年から2008年までの8年間で最低という意味であり、それ以前の期間と比べれば十分高い。しかし、「気温は上がり続けていないではないか」という認識、あるいはそれを故意に喧伝する勢力によるレトリックが、COP15が盛り上がりを欠いた背景の一つにあったといえるかもしれない。

 気候科学者の間では、今世紀に入ってからの世界平均気温上昇の鈍化は、気候の自然な変動によるものと考えられており、いつか再び顕著な気温上昇期が訪れることが予測されていた。

 そして、世界平均気温が1998年のピークを明らかに超え、再び観測史上最高の記録を更新したのは昨年2014年のことである。その上昇傾向は ・・・ログインして読む
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筆者

江守正多

江守正多(えもり・せいた) 国立環境研究所 地球環境研究センター副センター長

1970年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。1997年に国立環境研究所に入所し、気候変動リスク評価研究室長などを経て現職。専門は地球温暖化の将来予測とリスク論。気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書主執筆者。2012年に日本気象学会堀内賞受賞。著書に「異常気象と人類の選択」等。

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