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地球外知的文明が見つかる日は近い?

アマチュアも参加する太陽系外惑星探しに大きな可能性

須藤靖  東京大学教授(宇宙物理学)

 ノーベル賞受賞者でもあるイタリアの原子核物理学者エンリコ・フェルミは、1950年、ロスアラモス研究所での昼食中に“Where are they?”という問いを発したとされる。以来、「宇宙に知的文明が存在するか?」という問いは、彼の名を冠して「フェルミの疑問」あるいは「フェルミのパラドクス」と呼ばれるようになった。最新の天文学はこの究極の疑問に対して、科学的な観測データで答え得るレベルにまで到達しつつある。今年初めての担当となる今回は、誰でも心の底では知りたいくせに興味がないふりをして過ごしているこの「地球外知的文明」に関係した話題を紹介してみたい。

拡大プラネット・ハンターズのホームページ

 プラネット・ハンターズというウェブサイトは、太陽系の外にある惑星の検出を目的とした専用宇宙望遠鏡・ケプラー探査機のデータから想定外の信号を探し出すため、一般市民の知を結集するサイトである。いわゆるオープンサイエンス(市民科学と訳されることもある)の一つで、この種のものとしては高等数学の難問にブログを通じて挑戦するポリマス・プロジェクト、20万人が参加して銀河画像を分類するギャラクシー・ズー、DNA情報からタンパク質の構造を決定するフォールド・イット、など先駆的な成功例も数多く知られている。

 ケプラー探査機は、2009年の打ち上げから2013年に姿勢制御系が故障するまでの約4年間、10万個の恒星の明るさの微小な時間変化(減光)を継続的にモニターした。その主目的は、1日から100日程度の周期で規則的に恒星の前を横切る惑星(トランジット惑星)、特に地球型惑星の探査である。そのような周期的信号を精度よく自動検出するソフトウェアが整備され、4000個以上のトランジット惑星候補天体が報告された。これらの候補天体のうち約1000個は、追観測あるいは追解析によってすでにトランジット惑星であることがほぼ確定している。

拡大恒星の前を惑星が横切ると、減光する=NASA Ames提供

 その一方で、4年のモニター期間中にせいぜい1回程度しか減光を示さない現象もある。それはもしかすると周期の長い惑星かもしれないし、はたまた全く異なる原因(雑音、あるいはさらに興味深い未知の現象)で生み出されたものかもしれない。これを自動的に判定するのは困難である。

 このような場合は、やっぱりコンピューターではなく人間の出番だ。それにはアマチュアの力こそ大切だということで、プラネット・ハンターズが生まれた。

 その成果はすでに複数の研究論文として天文学の専門誌に出版されている。そのうちの一つ、 ・・・ログインして読む
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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし)  東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に『ものの大きさ』、『解析力学・量子論』、『人生一般二相対論』(いずれも東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『三日月とクロワッサン』、『主役はダーク』『宇宙人の見る地球』(いずれも毎日新聞社)などがある。

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