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新聞社の取材に腹が立つ

コメントをとるなら対価を支払うべきだ

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

不愉快になる新聞社の取材

 テレビ、新聞、雑誌などから、取材されたり、コメントを求められたりすることが多くなった。昨年来では、東芝の粉飾会計や、シャープの買収に関する問題について「詳しい話を聞きたい、意見を聞きたい、コメントが欲しい」と多くのメディアから接触があった。

 しかし、このようなときに不愉快な思いをすることが多い。特に新聞、その中でも日経、朝日、読売(つまり日本の大手と言われる新聞)の取材では、不愉快を通り越して腹が立つことすらある。

 何が不愉快かというと、第一に、上から目線の態度をとることである。第二に、謝礼などは一切払わない。第三に、当方のコメントを使ったかどうかを一切知らせない(もちろんコメントが掲載された新聞を送ってくることも無い)。

拡大記者の質問に答える鴻海精密工業の郭台銘会長=2016年2月5日、大阪市阿倍野区、豊間根功智撮影

 唯一の例外は東京新聞で、ここだけは謝礼を支払い(もちろん多くはないが)、掲載紙を3部、きちんと送ってくる。しかし、自分が経験した範囲では、それ以外の新聞社の記者の態度は、目に余るものがある。

 その一例を示すと直近では、経営不振のシャープが台湾のホンハイによる買収を臨時取締役で決めた件に関するコメントを、2月26日に読売新聞の記者から求められた。そのときの様子をなるべく忠実に再現してみよう。

読売からのコメント依頼とそのやり取り

 まず、26日の14時ごろ、「電話取材を行いたい」という内容のメールが送られてきた。そこには、連絡先として携帯電話の番号だけが記載されていた。

 私は、コンサルタント先の打ち合わせを終えた17時ごろ、そのメールに気付き、電話をかけた。しかし、留守電話になっていたので、何もメッセージを残さず電話を切った。

 その20分後に記者から、折り返しの電話がかかってきた。そのやり取りは、以下の通り。

読売 「電話を頂きましたが、何か用ですか?」
湯之上 (何か用ですかはないだろうと思いながら)「電話取材をしたいとメールを出したのは貴方ではないのですか?」
読売 「ああ、そうでした。ご意見があるなら伺いたいと思いますが」
湯之上 「その前に、この取材はボランティアですか?」
読売 「そうですが、何か問題がありますか? もし、お金を請求されるなら、コメントは要りませんので、もう結構です」
湯之上 (この時点で相当腹が立っているが)「じゃあ、コメントを採用した場合は、掲載紙を送ってもらえますか?」
読売 「ご希望は一応、伺いましたが、確約はできません」
湯之上 (不愉快だったが面倒くさいので話してしまうことにした)「私の意見は次の通りです」

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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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