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ロバート・デニーロが反ワクチン映画上映を断念

ニューヨークのトライベッカ映画祭創設者としての提案と決断

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 2001年の米同時多発テロ後のニューヨークの再活性化を目指して始まったトライベッカ映画祭に、創設者の一人であるロバート・デニーロ氏が「反ワクチン映画」の上映を企画したが、翻意した。MMRワクチンが自閉症を引き起こすという主張をし、研究不正が明らかになって英国での医師免許を剝奪(はくだつ)されたアンドリュー・ウェイクフィールド博士が作った映画だ。デニーロ氏は先週金曜に「私には自閉症の子どもがおり、この問題について話す機会を提供したいと思った」とコメントを発表。しかし、翌日、上映取りやめを表明した。上映予定が明らかになった月曜から1週間たたないうちに方針撤回となった。

今年のトライベッカ映画祭の紹介ページ

 おそらく「表現の自由」がどこよりも尊重される国での上映中止に、正直に言って驚いた。映画の制作者側は「言論、芸術への弾圧」と非難声明を出したが、デニーロ氏は賢明な判断をしたと思う。事実に基づかない論文を書き、英国医学界から追放された当人が「ワクチンは悪」と主張し続けることに正当性は見いだせないからだ。

 MMRワクチンとは、はしか、おたふく風邪、風疹の3つのワクチンを混合した生ワクチンで、日本ではDPTワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の3種混合ワクチンに対して「新3種混合ワクチン」と呼ばれて1989年から接種が始まった。しかし、無菌性髄膜炎の多発が問題になり、93年に定期接種を中止。現在は、はしかと風疹の混合ワクチンが定期接種とされ、おたふく風邪ワクチンが任意接種となっている。

 一方、英国では

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