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熊本地震、改訂で規模小さく予測

政府の地震調査委員会 活断層の長期評価は難しい

瀬川茂子 朝日新聞記者(科学医療部)

 

 熊本の16日の地震は、政府の地震調査委員会が「評価」していた断層で発生した。マグニチュード(M)7・0の地震規模を予測していたが、実際はM7・3だった。この断層については、2013年に評価の改訂があり、今後30年以内の地震発生確率が、改訂前の0%から0・9%に引き上げられていた。改訂前なら、「安全だと思っていた場所で地震が起こった」と批判されたことだろう。一方、地震規模の予測は改訂前のM7・2から0・2引き下げた。なぜ規模の予測を引き下げたのか。改訂前のほうがよかったと指摘する研究者もいる。活断層の長期予測が始まって以来ずっと指摘されてきた課題が今回もまた浮かびあがった。

布田川断層帯に沿って地表に現れたずれ。麦畑が2メートルほどずれていた=香取啓介撮影

 普通に考えると、最新の科学成果を取り入れて、予測が変わるのは良いことだ。しかし、改訂で断層評価が変わった理由をみると、予測に大きな不確実性を含むことがよくわかる。細かい数字が出てくると、いかにも精緻な予測をしているように見えるが、実は、研究者の間で議論になっているような内容が含まれており、新発見や解釈の変更があると、簡単に数字は変わる。この不確実性を含む予測が、被害想定などの防災対策の前提として使われている。

 改訂で、地震規模の予測が小さくなった主な理由は、

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