スマートフォン開発史から浮かび上がる3条件とは
2016年05月16日
イノベーション。日本語では革新と訳される言葉は、最近ではちょっとした新技術や新製品、新しい試みにまで使われることが多い。しかし、元々は産業革命を起こした蒸気機関やインターネットなど、それまでの産業や社会構造を劇的に変える動きを意味するもので、そう頻々と起きるものではない。
例えば、ここ数年話題に上がるGoogle glassやApple Watchなどの情報端末「ウェアラブル」は、年々製品数は増加しているものの、現時点では社会を大きく変える潮流にまで至っていない。つまり、イノベーションにはなっていない。
その一方で、アイデアや製品自体は古くからあるものの、それまでさっぱり普及しなかったものが、ある時点を境にイノベーションへ転化するものもある。この十年弱で爆発的に普及したスマートフォンはその典型的な例といえる。
イノベーションへと成長するものと、それに至らないものの違いはどこにあるのだろうか。今回はスマートフォンを例に、イノベーションが生まれる条件について考察してみたい。
一つ目は、「多くの人が必要としているものであること」。
これは、一見単純だが実は奥が深い。というのも、この必要性はその製品やサービスが実際に登場するまで、ほとんどの人は気づかないからだ。自動車やパソコン、インターネットなど、過去の巨大なイノベーションはいずれも、それらが登場して使われ始めるまで、具体的なニーズとして話題にのぼったことはほとんどない。そのため、イノベーションの起点となる製品やサービスが登場した時、多くはその価値を見抜くことができず、むしろ過小評価され否定されることが多い。
従って、この誰も気づいていないけれども誰もが必要とする未知のニーズをつかむことが最初の鍵となる。そのためには、
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