オスが敵のそばで鳴き続けるのは何故か?
2016年05月20日
鳴く虫といえば秋を連想するだろうが、実際は初夏から鳴き始める。5月の末に結構たくさん鳴いているコガタコオロギなどは、コオロギらしからぬ「ビイーッ」という一声を発するので、たいていの人は気にも留めない。しかし、姿は「立派な」コオロギである。
初夏のコオロギはもう一種いる。「ジャッジャッジャッ・・・・・」とこちらはかなり喧(かまびす)しく鳴いているが、ほとんど気づかれることがない。タンボコオロギという名であるが、ちょうど日本の田んぼでは、アマガエルの大合唱が始まっていて、「ゲッゲッゲッ・・・・・・」のリズムがタンボコオロギにそっくりなのだ。ほとんどの人は、カエルの一種だと思っているに違いない。慣れると音質の違いでカエルかコオロギかはわかるのだが、リズムはほぼ同じである。「リズムの擬態」ではないだろうか。
この時期、田んぼにはもう一種鳴く虫がいる。モグラのような、土中の穴掘り生活を送るケラである。昔はかなり大量に生活していたらしい。その証拠にケラの卵しか食べないゴミムシがいるほどである。その名もミイデラゴミムシ。尻先で化学物質を2つ化合させ、敵に100℃以上のガスを吹きかけることで有名なゴミムシ類(甲虫目)である。
ケラのオスは土中に穴を掘り、その中で鳴くので、くぐもった音で「ビーーーー」とちょっと表記が難しいが、連続音である。ほとんどの鳴く虫はオスしか鳴かないが、ケラはメスも音を出せる。だだし、低い小さい囁(ささや)くような声で「ケラ」と聞こえる。狭い坑道で仲間と出会ったとき、挨拶のように「ケラ」と鳴く。観察用飼育箱での観察結果だ。
次に観察の場を芝生に替えよう。公園っぽいところにはよくある芝生。「ジーン、ジーン、ジーン、・・・・・・」とあちこちから聞こえてくる。シーツのような白い大きな布を広げておいて、ちょっと追い込めば、5〜7 mmのコオロギ系の虫が次々と飛び込んでくる。マダラスズである。後ろ足の太腿がこげ茶とクリーム色の斑(まだら)になっているのでついた名前である。小さいコオロギの仲間には、スズムシからきた「スズ」というのをつけることが多い。
同じ芝生で、2〜3週間経つと、同じぐらいの小コオロギが現れる。鳴き声は「ジーーーーーー」という単純な連続音。ただし、ときどき途切れる。マダラスズよりかなり高音で、高齢者には聞こえにくい。名前は「シバスズ」。色は黄土色で、斑はない。これで5種を紹介した。
観察環境をもう一度替える。川や止水などの水辺。アシなどの丈の高い草に棲んでいる。近づくと、「りーーーーーーー」という連続音が聞こえてくる。もっと近づいて、一匹だけの鳴き声を聞くと、「リー、リッリッリッリー」と鈴を転がしたような美しい声である。シバスズ、マダラスズより少し大きくて体色は金色、名前を「キンヒバリ」という。
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